第56話 『通』記者ってさ…

「調べたんだけど…彼がいいんじゃないかな?新渡戸稲造」

『通』からメールが届いた。

「彼が世界に発信しては日本がいいんじゃないかな、少し調べたらなにかヒントがあるかもしれない、日本はアニメ大国?」


 新渡戸稲造を知らない日本人は少ないだろう…。

 そして、僕は新渡戸稲造が何を世界に発信したかは知らない。

 5千円札の人だということは知っている。


 なにより、最後の日本はアニメ大国?

 なにを聞きたいのだ…僕に…。


『通』は記者の仕事を勘違いしている。

 新聞なんてものは、週刊誌と違い基本的に時事ネタか起きた結果を伝えるに過ぎない。さらに言えばスポンサーの資金で発行しているのだ。スポンサーの意向に逆らえない。

 つまり、どんなに興味が湧かないネタも、スポンサーからの依頼であれば取り上げるし、その逆も然り…。


「あのさ…記者は自分でネタ探さないから…」


 翌日

「上杉鷹山はどうかな?」


 だからさ…。

「うん…どうしても取り上げて欲しかったら、スポンサーになれば、僕に指示できるよ」

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