第44話 久しぶりに

 1ヶ月振りに彼女に逢った。

 いつもどおりの2時間足らずの車中食。

 納豆が…とか言ってたが、今日は気分じゃなかったらしい。

 持参したのはソーセージの詰め合わせだった。

(真逆の持ち込み…)

「どれ食べる?なに食べたい?」

「なんでもいいよ…自分の食べたいものにしなよ」

「ふぅん…ハンバーグスパゲティとサラダ」

(なんか…ずっしり重たいな…コンビニパスタ)

「今週の新商品なんでしたっけ?」

 コンビニの店員とは顔なじみで、隣に1人連れて歩いている。

(コンビニで店員連れて買い物する人初めて見た…)

「ここから一番近いコンビニどこですか?」

(まさかの同系列コンビニを聞く?)


「あのさ~新商品のデザート無かったからさ~違うコンビニ行こう」

 相変わらずのコンビニのはしご。

 そこら辺の駐車場に車を停めて車中食。

「食べ終わったらさ~一回アパートに帰って~荷物置いてくる…ついでにタバコ吸ってくる」

 アパートに迎えに行って、コンビニで買い物して、別のコンビニでゴミ捨てて、コンビニでデザート買って、別のコンビニでゴミを捨てて、またアパートに戻る。

 10分ほど車で待っていると、戻ってくるなり

「あのさ~アタシ、ガム買ったよね?」

「あぁ買ってたね」

「無いよ…捨てたのかな?何処で捨てたと思う?」

「最後に寄ったコンビニじゃない?」

「戻る」

「コンビニに?」

「うん…ゴミ箱探す」

 そしてまたコンビニへ…すぐに見つかったようで、酸っぱい臭いのするガムを持って車に戻った。

「ビニール剥がしてからくればいいじゃない…」

「剥がすよ、ここで」

(なぜ…ここで剥がす?)

「たまにあるよね、買ってそのままゴミ箱に捨てること」

「いや…ほぼ無いだろ…」

「桜雪ちゃんがさ、財布をゴミ箱に捨てたら取りに行くでしょ」

「財布をゴミ箱に捨てる状況が無い」


「桜雪ちゃん…ラブホでバイトするでしょ…病まないでね」

「ん…」

「だってアタシお客さんと一緒に出たりするんだよ…」

「うん…」

「ホテルで一緒に働く人もアタシを呼んだりするんだよ」

「うん…」


 解っているさ…だから僕は…壊れてるんだ。

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