第46話囚われた芸人編⑦

⚫県での本の手売りは、優しい地元の方々のおかげで、約10冊ほど売れました。


「おさむちゃん、お疲れやで。うちの家にきいな!見せたいものあるから。」


商店会長に自宅へと招かれる。

家の中に入り、会長は上着を脱ぎシャツを脱ぎ、楽な格好になる。


「おさむちゃーん!Facebook友達多いな!5000人もおるやん。すごいな!」


「まあ、こまめにSNSやってますから。」


「今日のこの本売れた話、書いといてや!」


「わかりました。」


「まず、⚫商店会の会長、◯◯さんに本を売って頂きました!ほんで、本が10冊・・いや!20冊・・・いや!30冊!本が30冊売れたって書いて!ほんで投稿したら確認するから見せてな。」


「・・・はい。」


もうどちらがどちらの宣伝をしてるのか、わからぬ状況だ。


「それと、おさむちゃん!これ見て。」


と、会長に見せられたのは、会長が作務衣を着て日本全国を旅している写真だった。


「去年は作務衣着て、青春18切符だけで、日本最北端まで行ったんやで!」


「へえー。」


「わしな。いずれはこの旅行の手記を出版したいと思ってるねん!おさむちゃんみたいに!もうペンネームも決めてあるねん!」


「そうなんですか。」


「その時はおさむちゃん、本の出し方教えてよ。出版社にも紹介してほしいねん!頼むわな!」


「はあ。」


そして夜。

やはり、会長は車で帰りは送ってくれず、自腹で電車に乗って帰る事となった。


しかしあの、会長の旅行の話。

どっかで見たことがある。

そうだ!会長のラインの投稿だ!

あわててスマホを見てみる。


「⚫⚫商店会の会長に就任して、4ヶ月・・」

「⚫⚫商店会の会長は大変やわ・・・」

そして、

「また旅行に行こうと思ってます。とりあえず商店会の会員からカンパ⚫万円頂きました。目標の旅費は100万円です。カンパご協力お願いいたします!」


あっ!

僕の頭の中で何やらパチパチとコンピューターが動きだす。

そして、バラバラになっていた、パズルのピースが、一つ一つ合わさっていく!


パチン!

一つに繋がった!


僕の頭の中から出てきた、全ての謎の答え!

これが本当かどうか、すぐ調べなければ、


僕の考え出した答えが本当なら!


あの男は、かなり危険だ!


そして、僕の置かれた状況は、もっと危険だ!!

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