8/30 ローストビーフ丼

昨年から至る所でローストビーフを見るようになった。


ローストビーフと言えば元々はホテルのビュッフェやお洒落な喫茶店のサンドイッチで見かける程度だったのだが、いつからかスーパーやコンビニでも見かけるようになり、今では牛肉の一般的な使い道の一つに挙がる程になっている。

それというのも、ローストビーフに使う牛肉は霜降り牛のようなサシの入った牛肉ではなく、逆に脂身の少ない赤身の部分を主に使っており、牛肉料理でありながら程々の価格で提供出来るという特徴があるからだろう。

牛肉なのでそれなりの値段はするのだが、牛丼とステーキの中間の価格帯になるのが手を出しやすいのだ。


だが、そんなローストビーフをこうまで爆発的に広めた原因に、ローストビーフをご飯に乗せたローストビーフ丼の存在がある。


ステーキの代わりかパンに挟んで食べるのが当たり前だった中に、突如として現れた米と相性の良い食べ方。

元々牛丼という牛肉を使った丼物が受け入れられていた下地もあってか、それはもう爆発的に広まった。

急にローストビーフ丼専門店が各地に出来始め、牛丼チェーン店までもがローストビーフ丼の提供を始める程だ。


だが、そのローストビーフ丼について、私はどうしても我慢出来ない事がある。


何故、ローストビーフ丼はヨーグルトだればかりなのだ。


ローストビーフ丼専門店のローストビーフ丼にかかっているたれと言えば、そう、白いたれだ。

あれはヨーグルトを元に味付けしたヨーグルトだれであり、どうやらローストビーフを食べるのに最適なたれらしい。

しかし、しかしだ、ローストビーフと言っても要は牛肉のたたきだ。

つまり、ヨーグルトだれよりも醤油を使ったたれのほうが美味いのだ。しかも、酸っぱさが残るヨーグルトだれよりもご飯との相性が良い。

だというのに、何故、こうもヨーグルトだれだらけなのだ?

欲を言えば醤油を使って玉葱や林檎を摩り下ろした物と合わせたたれが良いのだが、この際山葵醤油でも構わない。

ご飯と生ものと言ったら醤油だ。醤油なのだ。

この意に反する人間はこの国にはそうは居ないだろう。

絶対に、醤油のローストビーフ丼は需要があるはずなのだ。


だから、

だからどうか、

私に、醤油と牛肉で米を食べさせてくれ。頼む。

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