8/27 納豆おろし蕎麦
「おーい、いるー?」
「いないぞ」
「いやいや居るじゃん。めっちゃお蕎麦食べてるじゃん」
「気のせいだ」
「気のせいってあんた……じゃあ、この私の目の前に居るのは誰なのかなー?」
「蜃気楼か何かだろう。正に気のせいという奴だ」
「いやいや、そこでお蕎麦食べながらドヤ顔されても困るから。ちゃんと目の前に実像で居るから」
「むぅ、仕方ないな。それで、一体なんの用なんだ?」
「実はさぁー、こないだの上司の車を壊しちゃった件についてなんだけどさぁー……」
「ああ、あれか。あれは国がなんとかするのでは無かったのか?」
「………………」
「ん、どうした?」
「うーん……うん、うん。うん?」
「おいおい、そんな深刻な顔をしてどうしたんだ?」
「……あのさ、間違ってたら謝るね」
「なんだ?」
「もしかして、太っあぶねっ!!?」
「チッ」
「ちょちょちょ、それは無いでしょ。いきなり首狙いは無いでしょ。殺る気まんまんじゃん?」
「命拾いしたな」
「いやいやいや、こんな事で命の危険感じたくないし。ちょっと気になっただけじゃん。前より太…待った!これ以上言わない。言わないから!だからその手に持ったのを置いて!!」
「そうか。何の事だか分からいが、言わないのならそれが良い」
「うわマジ無いわー。ガチで親友を殺しにかかるとか無いわー」
「で、車がどうした?」
「あーうん。その話だけど、一旦置くね。今食べてるのは何?」
「これか?これは蕎麦という食物繊維豊富な麺類で、蛋白質豊富な納豆と消化を助ける大根おろしを…」
「そうじゃなくて。なんで食べてるの?」
「昼食の時間だからだろう?食べている最中に来たのはそっちだぞ?」
「そうでもなくて、なんでさっき私はあんたに殺されかけたのに、なんであんたはその殺されかけた理由の原因になるような事をしてるのかって聞いてるの」
「食事は大事だぞ?」
「そうじゃねえつってんだろ!!」
「わっ!?」
「でぶった事を言われたら怒るのに、なんで飯食ってんだよって聞いてんだよ!!」
「で、でぶって言うなぁぁ!!少し肉がつまめるだけだっ!!!」
「体型じゃなくて心がでぶなんだよ!!太った自覚があるのなら食うのを止めろ!!!痩せたいなら食うな!!!」
「食べないと死ぬだろうが!!」
「そう簡単に死なねえよ!!経験しただろ!!」
「そ、それは……」
「あー、もぅ。こっち来てご飯が美味しいのは分かるけどさぁ、明らかに食べることに執着しすぎでしょ。少しは控えなよ」
「あ、ああ…うん……」
「どうせダイエットって言いながら低カロリーな物をお腹いっぱい食べてたりしてるんでしょ」
「な、何故それを」
「はぁ……それ全然意味無いからね?元の食事に戻した時にすごいリバウンドするやつだから」
「な、なんだと…!?」
「やっぱり知らなかったか」
「なんてことだ……じゃ、じゃあ、一体どうしたら……」
「普段と同じ食事で、徐々に量を減らしなさい。それが一番楽でリバウンドもしにくい方法だから」
「それだけでいいのか?」
「あ、運動は別にちゃんとしなきゃダメだからね?」
「分かった。それは大丈夫だから任せてくれ」
「はぁ…、それにしても、まさかあんたがダイエットとはねぇ。そりゃ夏なのに雨ばっかり降るわ」
「どういう意味だ?」
「そのままの意味。まあ、気にしたら負けよ。蜃気楼だけに」
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