7/28 縁日の屋台

この商店街は毎月28日に街のやや北側に位置する明王殿という場所への参道に屋台が立ち並ぶ、山門祭りと呼ばれる縁日がある。


この明王殿は浄化の力を持った偉大な人を祀った場所らしく、何十年か前にこの辺りに遊郭があった頃に女性達がよく訪れていた場所だという。

今では単純に不浄を浄化させるという事で便所の神様扱いをされているようだが、実際は不浄なものを全て焼き尽くして浄化するというとても過激な炎の力を持った御方で、その力の一つに女の子を男の子に性転換させる力もあると説明書きに書いてあった。


ここまで来ると精霊か神なのではないのかと思うが、元々は悪人から改心しただけの人と言うのだからこの世界は恐ろしい。


と、そんな事は私には関係ない。

私が気にしているのはこの縁日に並ぶ屋台だ。


焼き鳥、串カツ、牛串、お好み焼き、広島のお好み焼き(実際にそう書いてある)、たこ焼、オムソバ、フライドポテト、たい焼き、唐揚げ、クレープ、ウインナー、ベビーカステラ、焼きとうもろこし、りんご飴、五平餅、燻製物、こんにゃく、ところてん、しらす、干ししいたけ。

直ぐに食べれる物ばかりではなく乾物等もあるが、どれも魅力的だ。


まずは焼き鳥の腿と皮を食べ、どて串カツとキャベツを食べ、牛串のカルビとホルモンを食べ、五平餅を食べて明王殿にお参りし、帰りにオムソバとお好み焼きを食べるのが基本のルートだ。

日によっては牛串が唐揚げに変わったり、五平餅がたい焼きやベビーカステラに変わったりする。

たまに燻製物やりんご飴を買って翌日食べたりもする。


稀によく、こういった屋台の食べ物は衛生面が心配だとか、普通に買うよりも高いだとか言う者が居るが、そんな物は野暮だ。

冷房の効いた家の中で食べる流しそうめんは美味いか?

飛び散ると大変だからと風呂場でする西瓜割りは楽しいか?

焚き火を起こすのが面倒だからとガスコンロで飯盒炊爨して満足か?

そうじゃないだろう。


この世にはそこでそうする事でしか体験できない物がある。

縁日の屋台で買った物を歩きながら食べるからこそ、祭りの充実感が得られるのだ。。

その充実感の為に金を出しているのだと思えば、たかが数百円程度気にならない。


そもそも映画館やテーマパークの食事もそういう物だしな。

ポップコーンなぞ自作すれば数十円で済むぞ。


さあ、会社帰りや学校帰りの者達が帰ったであろう夜の時間からが屋台の本番だ。

まだ日が高くて子供が歩いていると酒を飲むのを躊躇してしまうが、この時間になればそれも気にならなくなる。

酒と焼き鳥。酒と串カツ。酒と牛串だ。締めは五平餅とオムソバとお好み焼きだ。


今日は夏だから浴衣も用意した。

これを着て行けば屋台でおまけして貰えるのだ。

今日は飲むぞ。飲んでお参りだ。

真っていろよ、明王殿。

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