R.P.Gプレイなう!!
@letter
第1話
「次のニュースです。今日の午前、日付が変わると同時に全世界の首脳に1通の電子メールが送られました。」
チンッ。パンが焼けたみたいだ。今巷で有名なニュースキャスターがニュースを読み上げている。
「メールの内容は次の通りです。」
ニュースを聞き流しつつ朝ごはんの用意をする。朝はパンにコーヒーと決めているのだ。
「「はぁ〜い、各国家の首脳のみなさま。元気ですか?え?君の名はって?教えてあげましょう。私達は心が広いですからね〜。私達はあなた方が言うところの神です!!」」
どこのハッカー集団か知らないが暇なことをするもんだ。でも、各国家にメールを送ったのか。すごい技術だな。サクッ。うん、今日もパンがうまい!
「「神様ね〜、自分達で作っといてなんだけど飽きちゃったんですよこの世界。」」
頭大丈夫かな?なんでこんな痛い文を...。そうこうしているうちに登校時間である7時45分の10分前であるアラームがなった。まずいまずい。初登校から遅刻したんでは後であいつに何を言われるかわかったもんじゃない。俺は急いでテレビを消し、新しい高校の制服に袖を通す。
「んじゃ、行ってきます」
家を出た時、時計の針は7時48分を指していた。
学校には到着した。でも、普通には到着できなかった。ついた時には9時10分だったのだ。結論から言おう、遅刻した。
しかし、これにはちゃんとした理由がある。空から少女が落ちてきた。何言ってるかわからないかもしれないが事実である。なんだこの世界は!!ラ○ュタか!?もしくは、そらの○としものか!?落ち方がラ○ュタの方に似ててよかったよ!!そら○との方だったら死んでたもん!!そして、その落ちてきた少女はと言うと
「マスターマスター。早く学校に入りましょうよ〜」
耳元でこんなことを言ってきている。それも空中に浮きながら。
「はぁ、どうしてこうなった...」
ことが起こったのは、今から少し前のことである。
「うわ、家出るのちょっと遅かったか」
携帯を見て現在時刻を確認する。7時55分だった。
「まぁ、8時30分までには着くからいっか」
8時30分に
「前河先生、ちっちゃかったなぁ」
まるでロリ体系先生代表(自分調べ)の○萌先生みたいだったなぁ。というか、もはや本人では?と思うぐらいに似てた。安いアパートに住んでるのだろうか?
そんなことを考えてふと空を見上げると何かがゆっくり落ちてきているのが見えた。そう、まるで「バ○ス!」と言う滅びの言葉で有名な某映画のワンシーンの様にゆっくりと。そして落ちてきているものが少女であるとわかるぐらいに近づいてきた時、自分は幻覚を見ているのかと思い目を擦った。それでも空から落ちてきた少女は消えることはなかった。そして、俺の頭上で止まった。焦った。すごく焦った。でも、口から出てきた言葉は
「あの、そこどいてくれません?」
だった。なぜこんな言葉が第一声に出たのかと自分でもびっくりしていると
「おや?この登場の仕方で驚かない人類はいないと思ったんですがね?」
などと言って目の前に降りてきた。美少女だった。髪質の良さそうなセミロングの白い髪が揺れ綺麗なライトブラウンの瞳の中に俺が映る。
「なぜ驚かれないんです?」
「驚いてます。ただ、驚きすぎて半周回って落ち着いてる様に見えるだけです。現在進行形で心臓バックバクです。」
「そこは一周ではないので?」
「一周だと驚いてるところに戻ってきちゃうじゃないですか」
「そうですか」
「そうです」
「・・・」
「・・・」
まて、違う。こうじゃない。こんな話をしてる場合じゃない。
「君は誰だ!どうして落ちてきた!」
よし、普通の会話ができた!!
「私はクルシュ。落ちてきたのは先ほど申した通り驚かせようと思ったからですね。驚いた反応してくれなかったけど...」
少し悲しそうに目の前の、いや頭上の美少女は言ってきた。なんか罪悪感。
いや、罪悪感なんて感じてる場合じゃない!これだけは聞かないと!!
「なんで君は浮いてるんだ!!」
「ああ、そんなことですか。」
そんな事って君、割と大事なことだと思うが...
「それは私があなた方人類が言うところの神様という存在だからです。」
はい?この人今なんとおっしゃった?神?あ、なーるほど。そりゃ浮くわーな(笑)
「て、んなことがあってたまるかー!!!」
「いきなりどうしたんです?」
「「いきなりどうしたんです?」じゃないよ!神様?なにそれおいしいの!?」
「美味しい美味しくない以前に食べ物ではなかったと思いますが?」
「うん、そうだね!冷静なコメントありがとう!!」
そこでふと今朝のニュースが頭をよぎった。
「ん?ちょっと待って、神様っておっしゃいましたよね?」
「はい、何度もそう申してますが?」
ちょっと待って、これはもしかしたらもしかあるのではなかろうか
「もしかして、今朝のニュースと関係あったりします...?」
「今朝のニュースとは?」
「全世界の首脳にメールが送られたっていうニュースなんだけど...」
そう、今朝のあの頭をやっちゃったのかなと思うような内容のメールである。やはり関係があるのだろうか?
「ああ、あのメールでしたら送ったのは私達ですよ」
やっぱりか!やっぱり関係があるのか!
「でもどこからも返信がないんですよねぇ。なんででしょうね?」
「知りませんよ...」
そこまで言って違和感を覚えた。私達?達ってなんだ達って。まさか神様って1人だけじゃないのだろうか...。これは確認せねば!
「私達ってことは神様って何人もいるの?」
「ええとてもいますよ。」
うわぁ。いっぱいいるのかぁ。
「ところでマスター」
what?なに?マスター?はて、誰のことだろ?この場には少女×1と男子高校生×1である。つまり、その、俺か!!
「学校に行かなくてもいいので?」
驚きに次ぐ驚きで口をポカンと開けていると呑気なことにこんなことを言ってきた。学校?...忘れてた!!急いで時間を確認すると時は既に8時40分を指していた。遅刻確定である。
「やばい!!!」
その場から脱兎のごとく走り出した。自称神様は飛んでついて来ていた。楽そうでいいっすね、それ...
「マスター、もう質問はよろしいので?」
「まだまだ、全然、山ほどあるよ!!でもまずは学校に行かないといけないんだよ!!質問の続きはとりあえず、学校に着いてからだ!!!」
そして今に至るのである。我ながら面倒なことになったものだ。
「学校に入る前に教えて」
「はい。なんでしょう?」
「なんで俺のことをマスターって呼ぶの?」
「それはあなたがこの
この神様は何を言ってらっしゃるのでしょう?ゲームのラスボス?ただの高校生の俺が?いや、そもそもゲームってなんぞ...?
「ゲームってなんぞ?ラスボスってなんぞ?」
「ありゃ?メールのことを知っていたのでてっきりご存知かと思ったんですがね?」
「高校生の朝は忙しいんだぞい...」
高校生だけでなくおそらく世界中の人がそうだろう。
「では、簡単にご説明します。この世界はゲームの世界になりました。ゲームジャンルはロールプレイングゲーム。通称R.P.Gと呼ばれているものです。ゲームクリア条件は神達がこのゲームに飽きること。ゲームオーバー条件はあなたのHPが全損つまり死亡することですね。あ、ご安心ください。この世界では敵からの攻撃・病気以外でHPが減ることはございませんので。」
「え、は、え...?」
言っていることがわからない。しかし、時の流れは非情である。校舎から授業の終わりを告げるチャイムの音が聞こえてきた。1限の終わる時間は忘れたが9時30分を過ぎているのは確かだろう。
「ありゃ、1限終わっちゃいましたね。」
「・・・」
誰のせいだと思ってる。そんな思いを込めながらクルシュを見ていると、学校の中から前河先生が出てきた。俺があまりに遅いので心配して探しに行こうとしてくれたのだろう。考えてから今の自分が先ほどよりも落ち着いていることを実感していると
「あ!いた!もう、なんでこんなに遅いんですか!」
前河先生が俺の方に走ってきた。これは素直に謝罪案件だな。悪いのは完全にこっちだし。
「ちゃんと地図は渡したはずですし、遅れる場合は必ず連絡してくださいって言いましたよね!」
「はい。その通りです...ごめんなさい。」
「素直でよろしい。遅れてしまったのはもうどうしようもないので早く転入手続きを済ませちゃいましょう。ついてきてください。」
ん?この人俺しか見てなくないか?いや、自意識過剰だとかそういうのじゃなくまるでクルシュがこの場にいないような話し方してるし、普通の人なら空飛ぶ少女がいたら驚くだろう。俺は携帯を取り出し文字を打ち込み、クルシュに見せるように画面を向けた。
「『クルシュは俺以外の人から見えないの?』」
「はい。普段はGM《ゲームマスター》権限で不可視のバフがつてます。」
携帯の画面に気づいたらしく答えてくれた。なるほど、俺以外には見えないのか。でもゲームなだけあってやっぱりGMがいるんだな。と、そこに
「早くこないと置いて行きますよー」
と言う前河先生の声が聞こえてきた。クルシュとのやり取りをしているうちにいつの間にか足が止まっていたらしい。
「すいません。今すぐ行きます。」
さすがにこれ以上迷惑をかけては第1印象が問題児になりかけない。俺は走って前河先生を追いかけた。
前河先生に案内してもらい職員室に入った俺は、必要書類の書き込みや校則についての説明を受け、授業に参加するのは2限からになった。俺が入ることになった2-4組の次の授業は幸運なことに前河先生が担当する生物の授業だった。先生は俺に呼んだら教室に入ってくるように言い残し、中に入っていった。中で今日は先生が転入生がいるということを言っているのが聞こえてくる。そして、
「では、入ってきてくださーい。」
と呼ぶ声が聞こえてきた。人前はあまり得意ではないがここは仕方がない。扉の前で1つ深呼吸をして意を決して扉を開ける。
扉を開けるとクラスがざわついていた。
「じゃあ、自己紹介お願いします。」
先生の一言でクラスが静かになっていく。もう一度深呼吸をする。よし。頑張ろう。
「今日から彩霊高校に通うことになった
さあ、いろんな意味で新しいスタートだ!!
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