第1650話「空白の一年」
午前五時の職場。
体力よりも先に気力の限界が訪れた社員が現れた。
毎日三時間程度の時間外労働は気力(一般人が想定するあらゆる活動の原動力となる心のエネルギーを指す言葉。欠けると十分な活動が行えなくなる)よりもずっと体力を奪い取っていく。だが、社員にとって体力の消費は問題にならない。協定ギリギリの残業が常態化して身体が慣れていることもあるが、そも、体力は寝れば回復するからだ。問題は気力の方だった。客先から送られてくるメールが本当に何を言っているかが分からず、取り決めをことごとく覆され、必要だと伝えている情報は納期直前になっても出てこない。終いにはどうして早い段階で打診しなかったのかと詰られる。体力があっても向き合う気持ちがなくなる。社員は月曜日が永遠に来なければいいのにと思った。
だがいきなり長いレールガンを持った女子高生がやってきて、とにかくすごい攻撃で一年分の記憶を消し飛ばした。
目覚めたとき、社員は病院の天井を見上げていた。
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