第1468話「許容範囲」

午前五時の作業デスク。

目薬が現れた。

目薬は脚薬(一般人が想定する脚に塗布する薬を指す言葉。希少性と効能が高く、主に事故によって活動が危ぶまれた陸上選手などに用いられる)よりもずっと入手性が高く、一般人でも入手可能だったのでデスクワークが主体の社畜にも配られていた。机の上に置かれた新たな目薬を手に取った社畜だったが、その目薬をストレスのままにゴミ箱に投げ捨て、社畜は鞄から怪しい気配の目薬を取り出した。毒々しい紫色をした目薬は、駄菓子屋に居着いた胸のでかいはかせと出会った折、彼女が手渡してきた品だった。曰く、角膜修復速度が倍化するらしい。疲労のあまりしぼんだ目にも効くだろう、と社畜は紫色の目薬を開封して目に差した。すると過剰な回復力が周囲に波及し、同じくデスクワークで疲れ果てた社畜たちの脳を癒して思考力を取り戻させた。社畜はブラック企業に反旗を翻した。

だがいきなり長いレールガンを持った女子高生がやってきて、とにかくすごい攻撃で目薬が持つ影響力を除去した。

社畜が一匹脱走したが、ブラック企業は経営を維持した。

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