第1441話「たまには」
午前六時の朝。
現実が現れた。
東京ビッグサイトは現実(一般人が想定する労働の対価に受け取った金を消費して生活する日常を指す言葉。つらい)よりもずっと夢寄りの場所だった。コミックマーケット開催期間中、参加者の夢を具現化する結界と化すひと夏の舞台。二日間の旅路を終えた参加者たちは、バスや電車、自動車に飛行機、徒歩など各々の手段によって現実への帰路に着く。そうしてしばしの休息のち、夜明けとともに現実が現れたのだ。現実の火は夢に甘やかされた肉体を焼き、参加者を社畜に変えてゆく。社畜は何か月後かの夢の舞台を心に抱き、日々の勤めを果たす。すなわちこれが社会である。
だがいきなり長いレールガンを持った女子高生がやってきて、とにかくすごい攻撃で休日を一日だけ伸ばした。
戦利品を堪能した。
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