第1369話「超進化」

午前二時の研究所。

自我を獲得したバクテリアが現れた。

ぶかぶかの白衣を着ただるそうな眼鏡の女研究者はバクテリア(一般人が想定する単細胞生物の一種を指す言葉。栄養源の種類を問わず、何らかの養分さえあれば自分と同一の細菌を複製して増殖する)よりもずっと六年前から惰性で付き合っている彼氏のことを考えていたが、結婚の話を出しながらも実家から離れようとしないあの野郎とは流石に別れるべきかなあもう私もいい年齢になってきたしとため息を吐いて適当に突っ込んだ溶液が奇跡を引き起こし、バクテリアを進化させた。女研究者は男と自分の将来のことばかり考えていたので、進化したバクテリアが彼女の昼飯として配達されてきた近所のラーメンを求めて特殊な反応を見せていたことにも気付かないし、本当のところはラーメンではなくチャーシューを求めていることも理解しない。女研究者がチャーシューを口に運んだ瞬間、特殊進化したバクテリアが女の背後から襲いかかった。

だがいきなり長いレールガンを持った女子高生がやってきて、とにかくすごい攻撃で研究所内に発生させたワープホールにチャーシューを放り込んだ。

バクテリアは異世界に転送されていった。

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