第1135話「生への誘い」
午前二時の病院。
患者が現れた。
意味不明な発言は看護師(一般人が想定する療養上の世話あるいか診療の補助を仕事とする人を指す言葉。病状に対する知識のみならず対象者の生活環境や生死に関する広い知識と視野を持つ必要のある職業である)よりもずっと患者本人の脳を混乱させていた。まるで思考と言語の接続が切れてしまったかのように喋りたいことが言葉にならず、赤ん坊の如き呻き声を上げるしかできない。薬物の過剰摂取による影響が患者の身体に現れていた。患者は悲観していた。生を嫌悪していた。死を望んだ。しかし薬物過剰摂取で意識朦朧となる中、致死量に至っていないことを理解した。その直後、胃から流し込んだはずの薬が胃液と一緒になって逆流してきた。途端、それまであった死にたいという意識が、まともに生きたいという変化を遂げた。
だがいきなり医者が偽りの姿を捨て、とにかくすごい笑い声とともに自らと病院の真の姿を露わにした。
命は救う、ただし条件付きでな――謎の組織所属研究者は、病院改め組織実験棟で患者に告げた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます