第1078話「邪魔者は切る」

午後九時の宇宙。

隕石が現れた。

帯刀女子高生は月(一般人が想定する地球の衛星を指す言葉。太陽に対して太陰と呼ぶこともあったが、なんとなく字面がエロいので近代では月と呼ばれる場合が多い)よりもずっと巨大な隕石を両断すべく、できるだけ高所で待ち構えようとエベレスト登頂に挑んでいた。世界の頂上、大空の頭、あるいは母神とも同一視される標高8848メートルの山を登り、その頂点に辿り着いたときには感動で涙が零れた。ここに最年少登頂記録が達成されたかに思えたが、女子高生どころか女子中学生が登頂していたので感動の涙は悔し涙にすげ変わった。

だが遂に巨大な隕石が降ってきて、とにかくすごい勢いで大気圏に突入し地表に向かって落ちてきた。

人が泣いているときに邪魔するんじゃねえと一喝し、帯刀女子高生は隕石を両断した。

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