第1056話「スク水は素材を輝かせるのだから」

午前三時のプール。

少女に呼び出された少年が現れた。

少年は少女(一般人が想定する少年の日常を変質させる要因を指す言葉。尻が汚かった)よりもずっとスクール水着が好きだったので尻の汚い少女に構っている時間はなかったのだが、少女がどうしても、もう一度だけでいいからと頼み込むのでプールを訪れた。少年と少女の間には距離があった。肉体的なものではなく、精神的なもの、すなわち敬語である。少女が親しみを込めて崩れた言葉遣いで接しても、少年は頑なに敬語を使って会話する。こうなったら奥の手を見せるしかない、と少女は尻の上を走るスク水の裾に指をかけて臀部を露出した。反射的に目をそらした少年だったがしかし、以前、具体的には900話くらい前に見たときのような嫌な気配はしない、むしろ神々しいくらいだ。かぶりつきたくなるような、採れたての桃が如き美しさだった。少女はこの日のために尻に磨きをかけていた。その輝きたるや、少年の目を潰しかねないほどである。

だがいきなり長いレールガンを持った女子高生がやってきて、とにかくすごい攻撃で少年にサングラスを掛けた。

それでも感動的な美麗さに、少年は、スク水とは素材を引き立てるものなのだと深く理解した。

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