第1011話「解き放たれた死の獣」

午前十一時の動物園。

対ウサギ専用強化素材の中に捕らわれたウサギが現れた。

ウサギは絶滅危惧種(一般人が想定する絶滅寸前の種族を指す言葉。少子高齢化の進行により女子高生の数が減少している状況を鑑み、絶滅危惧種に指定すべきではないかという議論が生じている)よりもずっと見る機会が少ない生命体である。ウサギは相対した人間を必ず殺す死の獣として知られている。通常、人間であるならばウサギを目にして生き延びる術はない。だが、あらゆる物事には例外がある。死を超越せし者、死せず腐り落ちる者、そういった者たちの就く仕事の一つがウサギハンターだ。ウサギハンターは既に死んでいるためウサギによる死を無効化し、ウサギを捕らえることが可能なのである。

だがいきなり長いレールガンを持った女子高生がやってきて、とにかくすごい攻撃でウサギを檻から解放した。

動物園は阿鼻叫喚を極めた。

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