第962話「03_ありふれた小銃で世界最強」

掲載1000日目直前キャンペーン_ゲスト回 作:鶴川


午後五時の異世界。

地底人が現れた。

地底人は米軍の熱核攻撃によって少なからぬ損害を負った筈だが、目の前の地底人にはさしたる傷も見受けられない。外傷だけでなくARS(一般人の想定するところの急性放射線被爆症候群。Acute Radiation Syndrome.電離放射線被爆後、急性期に現れる一連の障害。東京に落とされたRRWによる放射線被爆によって発症した都民の数は数十万人にのぼるとされている)の前駆症状も見られない。

悪のはかせに対する態度は友好的なもので、それに含むところはなさそうに見えた。東京に出現した地底人とは別のコミュニティの者かもしれなかった。年老いた地底人は好々爺のような相好で口を開く。しかしここは異世界なので当然日本語を喋る筈もない。

だがいきなりブチギレた悪のはかせは容赦なく銃口を地底人に向けると、日本語喋れととにかくすごい恫喝をした。


「ど、どうぞ私たちの村にお越しください、歓待させていただきます……」

「喋れるんじゃん……」

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