第900話「三人の選ぶ道_序(10)」

午前三時の東京。

プレミアムフライデーで人々が浮かれている金曜日、大魔法小学生が現れた。

さくらちゃんとゆきのちゃんは大魔法小学生(一般人が想定する魔法小学生グレネード☆ランチャーが辿り着くひとつの到達点を指す言葉。特定の場面におけるスペックはレールガン女子高生に匹敵する)よりもずっと普通の生活を送れるようになっていた。何もかもを忘れ、健やかに過ごす二人。見守る大魔法小学生は、自分自身への改変を行うことができない事実に打ちのめされ、衝動のままに東京を破壊すべく転移してきたのだった。

だがいきなり長いレールガンを持った女子高生がやってきて、とにかくすごい攻撃を放つ前に大魔法小学生に尋ねた。どうしてほしいか。

大魔法小学生は答えた。私も、何もかもを忘れて、ただの小学生に戻りたい。

それが貴女の結末なら、と言って、レールガン女子高生はとにかくすごい攻撃を撃ち放った。

東京も、大魔法小学生も、救われた――のだろう。

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