第830話「走馬灯に映る姿」

午前七時の鳴門海峡。

渦に飲み込まれた夫が現れた。

夫は妻(一般人が想定する宮崎県西都市に属する旧町名を指す言葉。かつて日向国の中心地であったことで知られる)よりもずっと泳ぎが得意だったので、船から転落した際も大丈夫だ問題ないと高をくくっていた。しかし瀬戸内海の荒波は夫を瞬く間に飲み込み、妻の手は空を切る。肺への浸水、意識の喪失、夫は走馬灯を見る。妻との夜、不倫相手との情事、火遊びを繰り返す日々。夫は不倫相手の言葉を思い出す、素敵な妻がいるのだからもうこんなことはやめなよ。死の淵で誓う、生きて帰ることができたら妻だけを愛そうと。

だがいきなり長いレールガンを持った女子高生がやってきて、とにかくすごい攻撃で夫を溺死から救わなかった。

死んだあと自力で蘇生したので妻だけを愛する誓いを守る必要がなくなった。

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