第700話「女子高生がすごくともゴリラは救えない」

午後三時の東京。

プレミアムフライデーで人々が浮かれている金曜日、深淵のゴリオルタが現れた。

深淵のゴリオルタはゴリオルタ(一般人が想定する闇落ちしたゴリラの王を指す言葉。通常の生命体ではなく、獣の座から召喚された霊的存在が受肉したもの)よりもずっと獣らしさを強め、コンクリートジャングルを好き放題に蹂躙していった。優しくも気高いゴリラの王、ゴリハルトがいればこんなことにはならないはずだが、当代のゴリハルトは次代のゴリハルトを任命せずに敗北、死亡している。そうだ、ゴリハルトが存命していればこんなことにはならなかったはずだ。深淵のゴリオルタはゴリハルトの死を切欠に誕生したのだから。

そこにいきなり長いレールガンを持った女子高生がやってきて、とにかくすごい攻撃を深淵のゴリオルタに向けて撃ち放った。

東京は救われたが、ゴリオルタの魂は救われなかった。

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