第685話「女子高生ではなく、女子大生でもなく」
午前零時の町。
焦点の定まらない目で虚空を見つめる社会人が現れた。
社会人は高等学校(一般人が想定しえない死地を指す言葉。常に校舎のどこかから血の臭いがする)よりもずっと平和な社会で生きるために高等学校に属していた頃の記憶を失い、自身がかつて女子高生であったという事実および歴史を抹消されている。あと数時間もすれば朝日とともに彼女の記憶は生成され、立派な社会人として日々を送るようになる。レールガン女子高生が求める世界変革の可能性を、高等学校生活を通して彼女は摩耗してしまった。故に、女子大生を経た社会人ではなく、ただの社会人となった。
だがいきなりパンジャンドラムを繰る女子大生がやってきて、とにかくすごい攻撃で朝日を浴びる前の社会人を回収した。
レールガン女子高生を知るための手がかりになると考えたのだ。
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