【13】知らぬが仏(1)
薄いピンクが色を添える室内は、なんとも女性らしく、かわいらしい。
研究所には、食堂がある。本来なら、食堂で食事を摂るのだが、
ダイニングテーブルに食事が並ぶ前──
出されたいくつかのメニューに
「そういえば、この間のは……やっぱり
「何をおっしゃっているのですか。先日、
「あれは
「いいえ。あれは
「変わらず、
「
きょとんとする
「ごあいさつよ。
「
冷たい扱いに
「とにかく、
眉間にしわを寄せた
「なんですか」
「ううん」
「少しはご理解いただけましたか?」
「は~い、わかりました」
笑顔で返事をすると、今度は
なごやかで賑やかな時が刻まれていく。
夕食後、
リラの長い、腰まで届く髪。
さほど身長の高くない
その妙に目立つことで噂でも流れてしまったのか、
「どうかした?」
立場を意識せざるを得ない姫が不在だからか、
「ああ、すまない。図書室で本を読みたいと思って」
「案内するよ」
「ありがとう」
「会って話すのは、久しぶりだな」
「そうだね、五年くらい経ったのかな。でも、不思議だね。会えば昔に戻った気になる」
「いやぁ、
あははと
「それは……
「確かに」
まっすぐな壁と廊下は見通しがいい。規則的で目印はあまりないが、
『すぐ近くに
ふと、
「とーちゃーく」
「帰りは迎えに上がりましょうか?」
冗談を言う
「いや、大丈夫。多分、覚えられたから」
それじゃ、とふたりは互いに手を振った。
図書館に入ると、受付が数人いた。先ほど
そのまま奥まで歩いて行く。目的は、ひとつ──伝説のこと。しかし、一番奥の棚まで行って、
目の前には
「来ると思っていたよ」
「知りたいんでしょ? 僕もね、知りたいことがあって待っていたんだ。
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