閑話 シャーロッテ

私は今、今までで1番幸せな時と言えると思います。


ツネナリ、モミジの2人は、あの気色の悪い冒険者3人から救ってくれた恩人です。


無能に人権もクソもありませんでした。だから、仕方なく決闘に賭けるとして大人しく従いました。


お二方は、私なんかのために気色の悪い冒険者の要望通り、モミジ様自ら賭けてくださいました。


初めはお二方をバカではなかろうかと考えてしまいました。しかし、その考えはすぐに消え去りました。


一見ひょろっとしている風貌からは考えられないほどの気と、ありえない速度であの冒険者3人をあっという間に倒してしまわれたのです。


しかし、私は所詮無能。それに、ツネナリ様方は男爵だと聞いて、あの冒険者よりも酷い扱いを受けるのだろうと血の気が引きました。なぜなら貴族様は無能をとてつもなく毛嫌いしていますから...。自分はどのようにあの力で、いたぶり、殺されるのだろうと考えただけでも体が震えていました。


しかし、同様に賭ける物として一緒になっていたモミジ様から向けられた目は優しい目をしていらっしゃいました。




ここで分かったことは、どうやらお二方は冒険者では無かったらしく、この決闘で強さを見せつける事で冒険者ランクを上位から始めようとしていらっしゃるようでした。


ここでさらに驚いたことが、ツネナリ様とモミジ様の模擬戦でした。目にも止まらぬ速さで移動し、剣を振り、無詠唱で放たれる物凄いエネルギーの魔法で、ものの数秒でギルドマスターにやめてくれと懇願される程に決闘場をボロボロにしたかと思いきや、どんな魔法を使ったのかそれもあっという間に直してしまわれたのです。


その後ギルドマスターが気絶したところで、ちょっと疎外感を感じた私はお二方に話しかけると、忘れられていた様で正直びっくりしました。それと同時に安堵もしました。無能の私を忘れるという事は少なくとも体が目当てでは無いという事ですから。


その後、引き取ると仰ったお二方に私は警戒してしまいました。やはり身についた警戒心だけはどうしようもありませんでした。その警戒心を現している私を見てツネナリ様は懐かしいものを見る様な目をしていらっしゃいました。私は無能では無く、普通の人が嫉妬する程のスキルを持っていると言われた時も、期待と疑い半分半分でいる時にモミジ様に諭され渋々ながら返事をしてしまいました。


その後、商人ギルドに寄ったと思ったら貴族街に屋敷をタダでもらっていました。もう驚きません。疲れますから。


そして屋敷を案内され、私は屋敷の探検をしました。そして探検が終わってお二方の話し声が聞こえる方に向かおうとしましたら、この国の王様と、王女様、この国最強と言われる守護神ガリウス様までいらっしゃいました。そして土下座をしてツネナリ様方に謀反を起こさない様に懇願している様子を見てしまい、流石にこれには遠い目をしてしまいました。本当に何者なんでしょうか。あのお二方は。


その夜、夕食を頂き、ツネナリ様が私の無能では無いと証明して下さって、11歳の時にもう泣かないと決めたのに正直自分でも、びっくりするほど嗚咽をあげて泣いてしまいました。ここで私はお二方に一生仕えようと決心しました。


そして今、いつの間にか泣き疲れ、眠っていた様で、目を覚ますと隣には優しく私を抱いて眠るモミジ様の優しいお顔がありました。黒く濁った感情と未来に一つの光を示してくださったツネナリ様、こんなにも慈愛に満ちたお顔で私と眠ってくださるモミジ様、このお二方と出会えたことは本当に幸運でした。あのままならば、すぐに死ぬか、奴隷とされるか、娼館で働かされていたでしょうから。


まだ私はこのお二方以外はまだ信用できません。ですが、少しずつ外の景色にも目を向けられる様になっていきたいと思います。そしてお二方の言う帰る時までお仕えしたいと思います。あわよくば私もついていきたいです。


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魔法の数増やしました。


増やした魔法


〔無魔法〕〔結界魔法〕〔付与魔法〕

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