第29話 決闘後2

「ところでSランクにする事は確定したが、登録金は持ってきているのか?」


「えっと、いくらでしょうか?」


「金貨一枚だ。」


良かった。何とか頂いたお金で足りそうだ。


そして俺は金貨3枚を取り出して、ギルドマスターに渡した。


「ん?一枚多いぞ?」


「いえ、これで合っています。俺とモミジ、この子のぶんで。」


すると信じられないモノを見たかのような顔をして、3人はみてきた。


「「「え!?!?」」」


「わ、私も戦うんですか...?」


「そ、そうよ。この子はまだ弱いわよ。戦えるはずがないじゃない。」


「ツネナリ...。こんな小さい女の子を戦わせるのはさすがにどうかと思うぞ...。」


俺は一つため息をつき、こういった。


「何か勘違いしていないしていませんか?俺がその子を保護した理由は俺たちがいなくても生きていけるようにするためですよ?」


すると女の子は、しばらくしたら捨てられると思ったのか目に涙を浮かべ、


「わ、私、ついて行ってはいけないんでしょうか...?」


と聞いてきた。


「違うよ。それだとさっき引き取るといったことが嘘になるじゃないか。それに俺が君を引き取ったのは理由があって、君には俺と近しい雰囲気をしているんだ。信じていたものが崩れ去り、絶望し、信じれるものは自分だけだと思っている顔だよ。俺たちが保護することも内心では信じてないだろう?」


「・・・・・。」


「沈黙は肯定ととるよ。俺としてもそこまで信頼してもらえるとも思ってないから気にしないで。それはまぁ置いといて、事情があって俺たちはいなくなる時がいつかきっとくる。もし君が戦ったことがなく、弱いままだったら、その時君は生きていけるかい?」


と言うと、女の子は俯いて


「でき・・・ない・・です...。」


と言った。


「そうだろう?だから鍛えるんだ。それに君は強くなる。絶対に。」


そう俺が言うと、


「そ、そんなの嘘です!!私、何度もステータスを見ました!!...でも、そんなのありませんでしたよ...。私じゃ戦えませんよ...。」


と自信なさげに言う女の子を今まで黙っていたモミジが肩をガシッと掴んで、


「大丈夫!私たちがしっかりサポートするから!ツネナリ君はちょっと拗れちゃってるけど困ってる人がいれば助けてくれる優しい人なんだ。だから一度嘘だと思って信じて見て。...それにツネナリ君が言ってる私たちがいなくなるって言うこと、結構ほんとなんだ...。だけど私は君を助けてあげたい。だから一緒に頑張ろう!!」


と突然割り込んできて女の子を励ました。


すると女の子は


「わ、わかりました...。よ、よろしくお願いします。」


と渋々ながら返事をした。



俺は、「なんかいいところ取られた気がするし、なんで俺がフォローされてるんだ?」と思いながらも、


「あぁ、こちらこそ。」


と返事をした。




色々終わってギルドのロビーところに戻ってきた俺たちはギルドカードを受け取りに受付に向かって行くと、俺達を止めてきた猫獣人の受付嬢が顔を真っ青にして必死に謝ってきた。


「さ、先ほどはご、ごめんなさいですニャ!!ま、まさか貴族様だと思わなかったんですニャ!!ど、どうかお許し願いますニャ!!」


...ん?なんかファンタジーぽい語尾が聞こえたぞ?


「「ニャ?」」


「はっ!!す、すみませんニャ!!」


「「また言ってる...。」」


「二"ャ!?」


テンパってあたふたしている光景がほっこりした。思わず俺はフサフサの毛が生えているカーリナと呼ばれていた受付嬢の頭と耳を撫でた。


すると


「!?!!!?!?!?!!!? /// 」


と明らかに動揺して、顔を赤らめていた。


「ん?どうしたの?」


「い、いえ...。なんでもないです...。...これがギルドカードです。それとギルドマスターからこの書状を商業ギルドに持って行くようにと言われているので持って行ってください。先ほどは本当に申し訳ございませんでした。」


「別に気にしてないのでいいですよ。でも無能と呼ばれているからと言ってあの態度は少しかわいそうだと思います。俺からいうことはそれだけです。」


すると困惑した顔をして


「あ、あの、私に罰は...?」


「え?ああ、別にしないからいいよ。」


と言って俺たちは


「号外、ごうがーい!!2人目のXランク冒険者が誕生しましたー!!」


と元気に羊皮に書いた情報を持ってギルドに入ってきた男性を避け、


冒険者ギルドを後にした。

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