第28話 決闘後

「つ、ツネナリ男爵の勝利!!...男爵様は一体ステータスはどうなってるんだ...。まあいい。俺の権限であげられるのはSまでだ。今回の戦闘をみてSランク以上であることがはっきりした。もしかしてなのですが、モミジ様もあれほどの力があるのですか?」


「うーん、私のだと意識をギリギリ刈り取れるかなぁぐらいですね。撥ねとばすのはあれぐらいは普通でいけますね。」


「な、なんと...。ツネナリ男爵、モミジ殿とも戦ってみてくれないか?証明できればSランクまであげる。」


「そう言うことなら。あと僕たちの事はツネナリ、モミジでいいですよ。」


「わかった。ではお願いする。」



~数秒後~


ドンッ!!ドガーンッ!!キンッキキンッ!!


「も、もういいっ!!これ以上決闘場を壊さないでくれぇ~!!」


やりすぎたようだ。地面にクレーターがいくつもできている。


「はぁ、これどうしよう...。修理代いくらかかるんだろう...。」


屈強な姿だったギルドマスターのかけらもない姿で落ち込んでいた。


やりすぎちゃったな。〔3R〕で直しておくか。


俺はおもむろに地面に手をつくと〈リデュース〉と念じた。すると淡い緑色の光が波紋を描くように地面を覆っていった。


光が収まると、そこには首を撥ねとばして真っ赤に染まっていた地面がまっさらな状態に戻っていた。


ギルドマスターは何が起きたのか理解できず、目を何度も擦り、目の前の光景を確認していた。戻っていた事をようやく理解すると、


「な、な、なんじゃこりぁぁぁああ!」


と叫び、気絶してしまった。


するとおずおずと女の子が声をかけてきた。


「あ、あのぅ...。私はどうすれば...。」


「「あっ!!」」


「ご、ごめんね?君のこと忘れちゃってた。」


「ひどいっ!!...でも助けてくれてありがとう。」


「ううん。俺たちはああいうところを見るのが嫌なだけ。ただの自己満足だよ。俺、君に聞きたいことがあったんだ。嫌なこと聞くけど、"無能"って言われてたのってどうして?あと、"無能"には人としての権利がないって本当?」


「"無能"っていうのは魔法適正が一つもなくて、スキルも一つもない私みたいな子達のことを言うの。5年に1人の確率で生まれるらしいの。人としての権利がない事はないんだけど、みんなが黙認するから実質権利がないのと同じになってるの。」


と女の子は様々な負の感情が渦巻いているような顔をしながら言った。


するとモミジが、


「ねぇ、ツネナリ君。この子引き取ってもいいかな?」


「ああ、俺もそうするつもりだったよ。」


「わ、私を引き取って何するつもりですか!?」


「安心してくれ。僕らは君を守ろうとしているだけだ。それに君は"無能"なんかじゃない。君にはちゃんとスキルがある。それも普通の人達が嫉妬するほどの、ね。」


「ほ、本当に?」


「ああ。」


「わ、わかった。お兄さん達を信じる。私を引き取って下さい!!」


「「ああ、もちろんだ(ええ、もちろんよ)。」」




未だに気絶しているギルドマスターを揺すり起こすと、


「もう、驚かない。驚かないぞ。これからは『ツネナリだから。』で済ますことにするからな!!」


「おい。」


「割り切らねぇと俺の体が持たねぇんだよ!!」


「そうね。その判断は間違ってないわよ。」


「モミジまで!!」


「「あははははは!!」」

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