第26話 束の間の休息

騎士団長との試合が終わったあと、見学していた騎士たちが俺を質問責めにしてきた。どうやって強くなったのかとか、あそこにいる可愛い女の子はお前の彼女かとか正直うざかった。その質問責めが終わり、研究のために売って欲しいと言われていた魔境の魔物を解体場に出して、今は平民達が暮らす街に戻ってきた。魔物は多すぎるためにお金を払ってもらえるのは後日になるそうだ。


「あ"ーうざかったー。もう疲れたわー。」


「ふふ。そうね。今日は色々あったからつかれちゃった。」


「あぁ、全くだ。」


「今更だけどチートスキルなかったら私たち今頃死んでたわよね...。」


「あぁ。俺のスキルがなかったらチートスキルでも死んでたと思う。」


「そうね...。あの国から出られた事は運が良かったのだろうけど、全く運が良いのか悪いのか...。」


「あぁ、本当にな...。」


「あっ!!」


「なんだ?どうかしたのか?」


「うん...。チートスキルで思い出したんだけど、創造魔法あるじゃない?それを使えば死んだ人も生き返らせることも、転移魔法を作ってフィーデルン王国に飛んで、私達を召喚したあいつらをボコボコにして、みんなを連れて日本に帰ることもできるんじゃないかと思って...。」


とかなり重要なことを言ってきた。


「っ!!その考えは思いつかなかったな...。」


と早速作ろうとすると、


(待つのじゃ!!)


と最高神フール《爺さん》が止めてきた。


「あんだよー。これですぐ終わるだろうがよ。」


と言うと、


(その考えは無理じゃ。これから理由を話す。しっかり聞いておれよ。ーー


爺さんによると


まず復活魔法は相当の魔力を消費する上に、時間に制限があり死んでから3時間までしか効果がないそうだ。その効果を無くしてしまえば良いんじゃないかと問うとそれは"世界"ができることを拒むらしい。


次は転移魔法。膨大な魔力を消費することで飛ぶことはできるらしい。が、肝心の日本に帰ることはできないらしい。召喚にも、帰還にも異世界どうしを繋ぐために必ず神力がこもっていなければ発動できないらしい。神力を込めることができるのは現人神だけだそうだ。


ーーとまあこんな感じで帰還するのは無理なのじゃ。囚われの勇者達だが隷属の腕輪をはめ、洗脳されている以上、復活させても自害を、永遠に生き返れば生き返る分だけ死ぬだけなのじゃ。)


そうか...。面倒だな...。これで解決したと思ったのに...。


(それができるんだったら既に教えておるわい。)


「まぁしゃあねぇか。モミジの案はダメだったみたいだ。」


するとモミジはしょんぼりした表情をしてしまった。


「まぁいい発想だったよ。ありがとなモミジ。」


とフォローすると一転して


「うん!!」


と嬉しそうに笑った。




歩き初めて20分ほどたった頃


「それで、この後どうするの?」


「まずは冒険者ギルドに登録に行かないとな。折角王様がギルド宛に一筆書いてくれたんだから。」


「そうね。そうしま「(やっやめて!!)」今何か聞こえなかった!?」


「あぁ、俺も聞こえた。路地裏の方からだ。行ってみよう。」



俺たちが声が聞こえたほうに向かって行くとそこにはゴツい筋肉質の男たち3人ほどに囲まれる10歳ほどの女の子がいた。



「ゲッヘッヘ...。お前は"無能"なんだぁ!俺たちが何をしようが俺たちは罪には問われないんだよぅ!!」


「そうだぞっ!!"無能"のお前を可愛がってあげるんだっ!!感謝しろよっ!!」


「うひひひひ...。幼女、幼女、幼女をレイプ...。クゥ~なんて興奮するシチュエーションッ!!早く犯したい、犯したい、犯したい~!!」


「いやっ!!やめて!!誰か助けてぇ!!嫌だよ...嫌だよー!!こんな人たちに犯されるのはいやー!!」


「無駄だよ!!お前は"無能"なんだ!!誰もこないよ!!お前らは法に守ってもらえないんだよ!!ゲヘヘヘヘへ!!」




その光景を目にして俺たちは怒りを爆発させた。


「「おい。そこのゴリラども。」」


するとゴリラたちは怒りの形相でこちらを見てきた。


「「「あぁん!?もう一度言ってみろヤァ!!」」」


俺はただ静かに怒りながら答えてやった。


「ゴリラどもって言ったんだよ。」


「おうおうおう。お前みたいなヒョロっちい奴がこのCランク冒険者クッズー、カース、ゴーミー様たちに盾突くのかぁ?」


「おいお前らみろよっ。あのヒョロっちい奴の隣にいるコっ。めっちゃ別嬪さんなお嬢ちゃんだぞっ!!決闘して奪っちまおうぜっ!!」


「うひひひひ...。決闘して奴のお嬢ちゃんを奪って寝取り、寝取り、寝取りぃぃ~!!クゥ~!!興奮する~!!」


「決闘か...。いい案だな!!そうすれば俺たちは犯罪者にならなくて済む!!おいお前!!俺たちと決闘しろ!!お前が勝てばこっちの嬢ちゃんを返してやる。その代わりお前が負ければお前の横にいる嬢ちゃんを渡せ!!」


と気持ち悪い笑みを浮かべて決闘を申し込んで来た。するとモミジは


「決闘でなんとかなるんでしょ?私が賭けの対象になろうが、こんな奴らに私たちは負けないんだからさっさと受けて助けましょう。」


といった。そして俺は決闘を受けることにした。


「...やってやるよ。決闘の内容は俺が勝った場合その女の子を渡す、俺が負ければ俺の連れを渡す、でいいな?」


「あぁそれで良いぞ‼︎勝敗はどちらかが死ぬかのデスマッチだ‼︎それで良いよな?」


「あぁ。」


「ゲヘヘヘヘへ!!死にに来やがった!!よし‼︎今すぐやるぞ!!」


「お前が俺たちに勝てるとおもってるのかっ!!」

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