第5話:旅人、トゥルーク

「あ、悪いね。では、失礼」

 スバルは隣人の主婦に挨拶をし部屋の中へ入った。


 主婦は会釈ながらも眉をひそめ、

「変な人……」と呟いた。


 スバルはモノ珍しそうに部屋を見回した。


「いっや~、いいトコ住ンでんじゃん。やっぱ、セレブ~? 杏華キョーカってェ……!!」

 動物園の熊のように歩き回った。


「は~……? 知らないわよ。って言うか。さっきから杏華、杏華って、別に、あんたの彼女じゃないンだから……!!」


「だってい~ジャン。杏華で……昨日~も、杏華キョーカって呼んでって、言っただろ……」

 アゴであたしを指した。


「ン…、あたしが……?」まさか……

昨夜きのうは、酔ってたから……」


「オレさ、旅人だから……」


 来た~ーーー❗❗❗

 何、その旅人って……


 あんた、ルー💟柴……

 何、そんな職業いつ出来たの。


「気にしないで、皆、ファーストネームで呼び合うジャン」


「トゥルーク……」

 あたしは頭を抱え呟いた。


「え、トラックじゃね~って………!

 別にトラックの運ちゃんじゃね~ンだから……」


「トゥルークよ……。ま、訳すと『旅人』って事……」


「ああ、そういや~、昨日も聞いたな」


 あ~……❗ そうだ。

 この不毛のやり取り………!!


 きのーの夜もやったンだっけ……!?


 ああ……

 少しだけ思い出してきた。









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