プラハの恋人😆🎶✨うさキョン&ルーの事件簿

オズ研究所 《《#横須賀ストーリー紅白

第1話:人生最悪の出逢い

 きっと、これは悪夢よ。

 決まってる……


 29歳の誕生日……

 それは最悪の朝だった……


 起きたのは、ラブホのベッドの上。

 しかも隣りにはがイビキをかいて寝ていやがる。


 いや……、知らなくはない。


 確かに、バーで飲んでいた事は覚えてる。

 自称、『旅人』とか、言う変人だ。


 お前は、ルー○柴か……

 …って何が旅人だ。


 そんな職業あるか。


 神様、お願い。


 もう一度、ぐっすり寝たら、ちゃんと自分のベッドの上で起こして下さい。



 って、そんな訳もなく……



 頭が痛い……。

 ノドも渇いた。

 ああ、完全な二日酔い。

 だけど…、だけど……


 最悪の状態だが、取り急ぎ自己紹介をしておきましょう。


 宇沙美 杏華きょうか……



 今日から29歳……


 当然、独身。

 職業、翻訳家兼通訳……


 一応、美人エリートで通ってる。

 これが、男子にはすこぶる不評だ。


 打席に入る前に敬遠ってヤツ。


 おいおい、せっかく打席に入ったんだから勝負しろよな~……


 ったく……、ろくな男は寄って来ない。


 やっと、出来た彼氏も……


 いや……、待った。


 その話をするには酒の力を借りなきゃならない。


 とにかく、この場をなンとかしなければ……




 意を決して、あたしはガバッと起き上がった。



 ソッコーで身体を調べた。

「うッわァ~ー…、最悪……」

 下着姿で寝ていたらしい。


 しかも、ヒゲ男と一緒に……

 なンなの……


 もしかして、あたし、このヒゲ面、ゴリラーマンとやっちゃったの。


 う~ーー……、人生最大の不覚。


 ハッハハ……

 もう笑うしかない。


 あまりの出来事にあたしの脳内HDDは許容範囲を遥かに越えていた。


 パンク寸前。


 取り敢えず下着の中も調べたが、なンとかセーフ。


「ふゥ……」

 一応、最後の一線だけはいってはいないようだ。


 そこまであたしもバカじゃなかったって事か。


 周囲を見回すと鏡張りで派手な装飾、天井にはシャンデリアがあった。


 まさに、『ザ ラブホテル』……


 あ~ーーー、頭が痛い……。


 自分のバカさ加減に嫌気が差した。


「なンでこんなサル面のヒゲ男で正体不明の『旅人』と……」

 あたしは、ガンガン痛む頭を押して飛び起きた。


 ここにいてはいけない。


 なンとか逃げ出さねば……


 人生最大の失敗……

 それも29歳の誕生日に……。


 あたしは、化粧室へ駆け込み口をゆすぎ化粧を直し静かに部屋を飛び出した。


 時計を見ると9時を回っていた。


 すぐに自宅へ戻り服を着替えてながら風呂を沸かした。


 今朝の事は、あたしの記憶から消し去ろう。


 そうだ……


 あんなヒゲの『旅人』なんか二度と会わないンだから……


 そう、だって今日は誕生日……

 20代最後のバースデーよ。


 最悪だった28歳よ。

 さようなら……!!


 今年こそ絶対にいい女になってやる。












  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る