第13話小さなかるまん

「あでえ!…………うわ!」


転げるかのように廃墟の中へと入った私………………


………………


「中は、案外明るくてキレイぇ…………」


「おいおいおいお前ナニヤッテンネン!」


「はい?へ?はい?」


私が振り向くとそこには、小さなカルマンがいた。


「おいおいおいお前!そのけつに座ってる物なにかわかって…………わかって座ってんねんか!」


誰かさんのような全力エセ関西弁…………


「おいいいいい!もういいどけっ!ドッカン!!!!」


…………………………


自分で擬音を全力で言う人…………私は、久々に見た感じがしていた…………


「ドカ!バキ!トゥ!ゴムゴムの…………」


………………小さなカルマンは、私のおしり付近で一生懸命私のおしりと格闘している………………「か…………かわいい………………」


「トゥ!あちょ…………トゥ…………バンカイ…………」


私は、そっとお尻をあげる………………


「うおおおおおおおおおお」


彼は、小さな身体をのけぞるかのようにし、そして絶叫した。


「アバンテぇぇぇぇぇー」


そこにあったのは、ミニ四駆?………………


「きさまあああ!!!名を名乗れ!!そして弁償しろぉ!ああああああ」


かなりの勢いでまくし立てそして絶叫する小さなカルマンそして……


「うぐ………うぐ………」


泣く……。


「おま…………おまえ…………きゅうにどこから沸いて出たかしらねぇおまえ…………」


今にも崩れ落ちそうな小さなカルマン。


「おまえにわかんのか…………おれっちがこのにどれだけの時間、情熱、愛を注いできたのか…………週に1度の洗車…………もう二度とできないであろう車体とパーツとの絶妙なアンサンブル…………うぐ…………うぐ……」


すすり泣くようにまた泣く小さなカルマン…………


「あの…………ごめんなさい…………でもこれは、事故というか私も被害者…………そう被害者であってあの黒服ふたりが…………」


「うるさい!?うるさいうるさい聞きたくない!?このどこのどいつかわからねぇ馬の骨が!!!」


………………


感じが変わる…………急にそれまでのあいくるしさが薄れカルマン特有のあの目爬虫類のような目がむき出しになっていく…………カルマン…………


「おまえ…………みたところ人だよな…………おまえわかってんだろうな…………おれっちにこんなことしてこの先ただですむと…………」


「あのぅこれっ!!!」


私は、人らしくカルマンに深くこうべ下げ差し出しそしてそれと同時授けられた文を差し出す…………


まるであがらえないさだめに惨めに命ごいでもするかのように…………


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る