第5話 出勤と縮図

 女郎アカサ屋そこは、このエンの国イチの歓楽街とされる通称道玄郷ドウゲンキョウの中でも老舗とされるカルマン専用の風俗店である。


 カルマンそれは、この円の国を統べる上位種族でありカルマンとは、隠語もとい通称のようなもので本当は、カルマンアゲインなんちゃらなんちゃらとか言うとてもまわりくどい名前で本当のところは、私も知らない。


「あ!美琴おはよう!なんかおかしくなって倒れたって言うから大丈夫?」


「あ…………うん」


 きらびやかな表門とは、ちがい薄暗い裏の外階段。


 ………………


 私は、幾度この薄暗い鉄の階段をうつむき通ったのだろうか…………


 そして…………


「はい!506さん天津飯ヨ!」


 世話しなく働くヨルさんがいる、せまい厨房の脇のへと出る。


「あら美琴今日から出勤ネ!頑張るネ!ファイトイッパツネ!」


 ………………


 いつものように手渡されたなんのドリンクかわからない、南方のなにやら怪しい赤いドリンク。


「にんにん(ありがとう)」


 ヨルさんのお国の言葉でありがとうをさす言葉。今日もここから私の1日が始まる。


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