私のつづき
二律背反
私のつづき
菜月と楓
「おーい、
下駄箱で長身の女学生が呼びかける。
名を
170センチと同世代では高めの身長を気にする、普通の子。
「何?」
「一緒に帰ろうよ」
「あんた、
呼びかけられた小柄な女生徒はそっけなく問う。
名を
身長差のある二人が友達になってもう6年になる。
「今日は帰らないよ」
「あっそ」
学校を後にして、二人は黙々と街路を歩く。
「うみねこに寄る?」
「寄りたいのはあんたでしょ。〈幻術師〉の新刊」
「それは当然だよね」
「いいけど、〈時間線〉は?」
「もっちろん進んでるよ」
〈時間線〉正しくは〈時間線の砂城〉は、二人で作っている漫画のこと。
ストーリー、ネームは菜月、画は楓。二人は役割を交代しながら共著をいくつか作っていた。
内容を話し合いつつ、二人は街で一番大きい商業施設〈うみねこモール〉へ。
ショップを巡り、馴染みの店員と漫画の話題に興じ、買い物をして帰路に着く。
「んじゃね」
「ネーム、夜までには送ってよ」
くぎを刺す楓。
「はいはい」
応じる菜月。
けれどネームは楓のもとに届かず、二人の再会は一週間後になった。
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