第21話 Highest Arms 02
ガルード.side
「おにーいちゃん! 来ーたよ! 」
「げぇ!? なんでここがわかった! 」
「あ、ミイナちゃん。おはよう。」
シャルルとベースキャンプの施設増設をしているとどこから沸いて出てきたのかミイナが声をかけてきた。
「げぇって何よお兄ちゃん。可愛い彼女が会いに来たのに。」
「一昨日出会ったばかりなのに2人とも付き合ってるんだ!ねえねえ、ガルード君のどこに惹かれたのかな? 」
プンプンと効果音が付きそうな顔で怒るミイナと対照的に目を輝かせているシャルル。
本当に恋話好きだよな女の子。
ていうかシャルル、そいつの言葉すんなり信じるなよ。
どんだけ人を疑うって事を知らないんだ。
昔からこういう所が心配になる。
いいところでもあるんだけど。
「えーっとね。やっぱり優しくてー格好いいところかな? 」
「うんうん。ガルード君ってちょっと突っ張ってる所あるけど優しいんだよね。」
「勝手に盛り上がってる所悪いけどごっこだよごっこ。こいつが恋人ごっこに付き合って欲しいって言うから嫌々付き合ってるんだよ。」
あとそういうことは本人の前で言うのはやめて欲しい。
恥ずかしいだろ。
「えーそんなこと言っちゃうの。昨日はあんなにノリノリだったのに。大人を舐めるなよマセガキ……っとか言っちゃってさ。」
「おーい!シャルルの前でそんな事言うな! こいつなんでも信じちゃうんだから……ほら。」
「えっと、本当に2人はそんな仲なのかな? でもミイナちゃんはまだ小さいからお付き合いするなら健全じゃないとダメだよガルード君。」
恥ずかしそうに目を背け頬を赤らめるシャルル。
なんかやっぱり変な想像をしちゃってるよ。
このままじゃ作業が全然進まねえ。
「わーってるよわーってる。それに健全じゃないのはハルトの方だから。」
「え、なにそれ。初耳だよ。」
うわ、一瞬にして目が据わったぞシャルル。
怖っ。
だがしかし、この状況を変えるために犠牲になってくれハルト。
「それでハル君は昨日何してたのかな?教えてくれるかなガルード君。」
「私の妹ユウと水浴びしてたみたいなんだ。一緒に裸になってさ。」
「ユウちゃんと? 小さい子と水浴びする位よくあることだし、でもハル君どちらかと言うと子供苦手だったのに。」
「私のユウが可愛いから……仕方ないね。手とり足取り色々教えようとしてたっけ。」
ミイナもシャルルの只ならぬ雰囲気を察したのか煽る煽る。
「ごめんガルード君。ちょっと用事が出来ちゃったから行ってくるね。」
「おう。こっちは俺に任せてゆっくりしていけよ。」
「いいえ、直ぐに終わるから大丈夫。」
そう微笑みながらハルトの元へ向かうシャルル。
目は一切笑っていなかったが。
「なんだかんだ言ってそんなに私と二人っきりになりたかったんだおにーちゃん? 」
シャルルと対照的にニヤニヤと嬉しそうな笑みを浮かべて俺を覗きこむミイナ。
「早く作業を進めたいんだよ。せめて昼前までには終わらせないと。それよりいいのか姉よ、妹をそんな風に扱って。」
「ユウの裸を見たのがやっぱり許せなくてね! それにお姉ちゃんはユウに酷い事しないだろうし。ハルトって人には何するかわからないけど。そんな事よりデートしようよ。」
「だーかーらー! 作業したいって言ってるだろ! それにこの村でデートって言ってもな。」
「昨日ユウが行った川が涼しくて綺麗だったんだー。お弁当持って行こうよ。でも今日は仕方ないからお兄ちゃんの仕事手伝ってあげる。」
無い胸を張っているミイナ。
「お前に何ができるんだよ。」
「うーんと、お兄ちゃんのベースキャンプのレイアウトを考えるとか? 」
ほう。造形師の俺にそんな事を言うなんて余程自信があると見える。
「多分お兄ちゃんよりセンスあると思うよ? 」
「そんなに言うなら見せてもらおうじゃんか。サッサと拠点を作るポイントを探すぞ。」
「はーい! そういうのってどんな所がいいの? 」
「そうだな。ここだと視界が開けてる方がいいな。あと高低差がある所。」
「この村にそんな所は無いと思うよお兄ちゃん……。」
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