第18話 初めての遠征と不思議な姉妹 07

ガルード.side



「しっかし……。夜警護するなら今寝ておかないと辛いんだろうけど、今寝るのもそれはそれで辛いだろ。」


そんな訳で暇だから村を散策してる訳だ。


「活気はあるけどよくあるなんの変哲もない村だな。」


それでも歩いているだけで声掛けられるので退屈はしないが。

村を一周し終わり、せっかくだから何かこの村に作っておくかと考えてからは早かった。

作業出来そうな場所に移動し、早速作業にとりかかる。


「お兄ちゃん何してるの? 」


作業を始めて1時間位だろうか。

昨日の少女ミイナが隣に座って声を掛けてきた。

作業に集中していて気が付かなかったな。


「昨日話したか? 俺達この村の護衛に来てるんだけど、暇だからさ。何かオブジェでも作っておこうと思って作業してるんだ。」

「へー。お兄ちゃん強いもんね! ミイナも魔物の群れから助けてくれたし。でもお兄ちゃん物作ったりできるの? 」

「おう、こう見えても造形師だからな。」

「へー! 普段どんなもの作ったりしてるの? 」

「そうだなー。口じゃ説明めんどいからな。こんな感じだ。」


俺は魔法で簡単なオブジェを作成する。

うん、我ながらいい出来だ。


「普段こんなの作っているの? 変な人形ー。」


俺の作ったオブジェを訝しげに見つめ突っつきながら失礼な感想を吐くミイナ。


「この良さがわからないなんてまだまだ子供だな。」

「本当に大人だとよく見えるの?」


ミイナは嘘だと言いたげに俺を見つめてくる。


「おうよ。お前も年を重ねればいつかわかる。」

「わかりたくないような気がするよ……。でもお兄ちゃん。こんな風に魔法で作れるなら何で魔法で作らないで手で作ってるの? 」

「確かに魔法で作ることもできるが、それじゃあ暇つぶしにならないだろ? 早さは求められてないからな。ゆっくり作りたいんだよ。」

「なるほどね。ねえ、私も暇だから隣で見ていてもいい? 」

「邪魔しないならいいぞ。」

「やったー。色々お話しよう!お兄ちゃんの住んでいる所とか興味あるんだー。」


邪魔しなければって言っただろと心の仲で舌打ちするが、今更訂正するのも面倒なので隣に座るミイナを仕方なしに受け入れる。


「お兄ちゃんって恋人とか居ないの? 」


ミイナの突拍子のない質問に思わず吹き出してしまった。


「なんだよ突然。」

「えー、いいじゃん気になっちゃったんだし。」

「……いないよ。」

「お兄ちゃんって優しいし、かっこ、格好いい? うん。格好いいしモテると思ったのに。」


うっせえ。余計なお世話だ。

それにお前その反応俺がかっこ良くないって言ってる様なものだからな。

いいけどさ。

今はギルドの皆と一緒にいる方が楽しいんだ。

寂しくなんか無いぞ。


「そういうお前はどうなんだよ。想い人位いただろその年齢なら。」


その質問にミイナは俺から無言で目を逸らす。


「ふははは。お前だって居ないんじゃないか! 良くないぞ女の子は恋して綺麗になっていくって言うしな。」


そんなに可愛いのに勿体無いぞ。

本人には言わないけどな恥ずかしいし。


「むー、それじゃあお兄ちゃんに恋するんだからいいもん。」

「おいおいこんな年の離れた奴が恋人なんて良くないだろ。」

「でも子供が好きな大人もいるって聞いたことあるよ。お兄ちゃんは嫌いなの? 」

「俺はそんな変態じゃないからな。」


ぐぬぬと諦められない表情のミイナ。

こんなに可愛い子が言ってるのにとか言ってるのがボソリと聞こえた。

自分で言うなよ台無しだぞ。


「それじゃあ恋人ごっこに付き合ってよお兄ちゃん。」

「何がごっこだマセガキめ。」

「えー、さっき恋した方がいいって言ったのお兄ちゃんじゃん! 」

「あー、わかったわかった付き合ってやるよ。でも今日は終わりな。」


日が沈みかけているし、作業もキリがいい。

流石に昨日到着したばかりで朝から護衛をしてもらってるハルトと合流しないと可哀想だしな。


「えーもう終わりなの? 」


まだ話し足りないと不満そうなミイナ。

今日ずっと話してばかりなのにまだ話し足りないのかこいつは。

女の子って本当に話好きだな。


「また明日ここにいるから。そん時気が向いたら付き合ってやるよ。」

「ほんと!? 絶対だよ? 」

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