第35話
「いよいよ明後日だねー、準備大丈夫?」
夜、みちくんと電話をした。バイトが終わった時間。
「うん。みんなけっこーノリノリだよ。楽しみ」
「うちも。あ、俺午前中は大体占ってるから来て。午後は生徒会の方行かないとならんのよ」
「あー、うん」
みちくんはなに占いなのか、教えてくれなかった。当日のお楽しみだって。
「ん? 時間合わない?」
「ううん…」私はずっとひっかかってた。3年生の教室は怖い。あれ以来近づけないでいる。「大丈夫だよ。行く」
なんと言われようが、何を思われようが、私はみちくんの彼女なんだから堂々とすればいい。文化祭なんだから、誰がどこに行こうが文句ないでしょ、と思った。
「それに…」私は続ける「恋愛運の得意な人、紹介してほしいの」
「ん? 恋愛? それなら俺にまかせてよ。いやちひろ、必要ないだろ」
「あ、私じゃないよ。友達。え、てか、みちくんが?」
「んー? ああ、森田さんか」
「うん。 ……って、えっ!?!!!!」
「なるほどやっぱり」
「知ってたの?」
「いや知らなかったけど、なんとなくおかしいとは思ってたよ」
私はもりちゃんごめん! と心の中で叫んだ
「お願いみちくん、もりちゃんには言わないで」
「ああ、もちろん。俺が何かを言うのもおかしな話だしね。気にはなるけど」
みちくんのこーゆーとこ、私は慣れない。つい余計なことを言っちゃうし、なんとなく言いにくいことも先に先に言われちゃったりするので心臓に悪かったりもする。
「ごめんね。もう少ししたらちゃんと話すから」
「うん。でも、俺、彼女のおかげでいまこうやってちひろといられるんだ。だから、力になれることがあれば最大限協力したいよ」
「うん。ありがと」
「あの子に怒られなかったら、今の俺たちはなかったかもだからね」
「怒られた?」
みちくんは、私に気持ちを伝えるために電話をしてきてくれた日のことを教えてくれた。私は全然知らなかった。みちくんは、恥ずかしくて言えなかったと笑った。私はますます、もりちゃんのために何かしたいと思った。
「あー、あとさ、ちひろ」
「うん? なあに?」
「文化祭の日は帰りが遅くなるんだって、家の人に言っておいて」
「あ、うんそーだよね。片付けとか?」
「ああ、うん」
「みんな遅くまでかかるんだー、何時くらい?」
「うん。まあ、そーなんだけどさ……」
「ん? 」
「あのほら、クラスってか、それぞれで打ち上げとかやる奴らもいたりするしね」
「えーいいなー、うちはそんなのないよ」
「俺も行かないけどね」
「ん?」
「いやだから、とにかく、遅くなるからって言っておいて」
「ん? はい。わかりました」
「帰りは責任もって家まで送るからさ」
「え? あ…… 」
「じ、じゃあ、そろそろ」
「あ、う、うんうん。おつかれさまありがと」
私はにやにやしながら電話を切った。そこへ電話が鳴った。
もりちゃんからだった
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