第2話
史織と習は小さい頃からお互いの家に遊びに行くほどの仲の良さで、姉弟のようだねと、どちらの両親も話していたものだった。
子育てのことで相談し合い、学校の先生のことで盛り上がっていたりと、家族同士の交流は盛んだった。
習は、史織の父母が揃って体育祭や文化祭、参観日に来ていたので、とても仲が良い家族と捉えていた。自分の両親は共働きなので、都合が合わなければ学校の行事に来られない。つい史織の両親を比べてしまう。
史織は大きく息を吸って背筋を伸ばすと、習の方に向き直り、ゆっくりと口を開いた。彼女は自分がまだ迷っていることはよくわかっていたが、迷った挙句の第一声ははっきりと歌うようだった。「私はお父さんお母さんを嫌いになったの」思春期にありがちな、他人事にも聞こえるような真実味のない調子で。「明日は夕方に雨が降るみたい」と似た抑揚で。
キョトンとしてじっとこちらを見ている習と目を合わせると、ちょっとおかしくなった。史織はうつむいて、相手がすぐに理解できないことを言ったのだなあと、もう一度同じことを言い直し、こう続けた。
「私はお父さんお母さんを嫌いになったの。高校生にもなると、親との距離感もわかってくるし、愛してくれているんだろうけど、そうじゃないんだよ。分かるかなあ、習くん」
習は眉を寄せて怪訝な顔をしているので、このまま続ける。
「例えば、わたしの将来の事を父と母で話して、わたしの意見はなんにも聞かない。ふたりで議論して、主張しているわけ。『あなたにはまだ社会のことはわからないから』とか『学費を無駄にしたくない』とか」唇を丸くしてふうっと息を吐く。「わたしの気持ちは暗澹たるものよ」3つ数えるように間を空けて、
「それでね、そんな私のお父さんお母さんは、離婚する事に決めましただって」
習は「離婚?」と聞き返し、目を大きく開いた。史織の父母は仲が良いと思っていただけに、これは悪い冗談なのかと習は一瞬疑ったが、ストレートな性格の史織がそんなつまらない冗談を言う訳がなかった。
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