第51話

大歓迎だった。


さして裕福でないと推測されるこの集落で、これだけの贅沢な食事はあるだけの食料を村からかき集めてきたとしか思えなかった。


なにせ四人は、鬼哭よりも強い新たな守り神なのだから。


「これだけ歓迎されると、なんだか帰りづらくなるわね」


「遠慮しなくてもいいぜ。俺たちは守り神になるなんて一言も言っていないんだからな」


「そうそう。こんなところにずっといるわけにもいかないからな」


宴は夜遅くまで続き、そして朝を迎えた。



起きた時には日がすっかり昇っていた。


「ううっ、ちょっと食いすぎたぜ」


「あたいも。太ったらこいつらのせいだからね」


「まあまあ、食うものも食ったし、そろそろ帰るとするか」


とりあえず長老に挨拶すると、長老は見るも哀れなほどに肩を落として言った。


「そうですか。あなたがたにはここにお留まりしていただきたいと思っておりましたが。とても残念にございます。でも私どもは、決してあなたがたのことを忘れたりはいたしませぬ。鎚使いの魁斗様。小刀使いの紫苑様。槍使いの飛燕様。そして光を操る術使いの清武様のことは、ここで代々語り継がれていくことでしょう」


清武は、どうやら妖術使いかなにかのように思われているらしい。


この際どうでもよいことなのだが。


「それじゃあ、世話になったぜ」


「お食事、おいしかったですよ」


「なごりおしいが、このへんでおいとまさせてもらいます」


「……」


「ではみなさまがた、これからも末永くお達者でお過ごしくださいませ」


四人は集落を後にした。

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