鬼哭

第49話

「ぐあああああっ」

鬼哭が両手で顔をおおった。

そして身をよじり、明らかに苦しんでいる。

金棒も下に落としていた。

紫苑はその様子を呆然と見ていたが、やがて我にかえって言った。

「夜にしか出てこない。そうか、こいつ光に弱いんだわ」

紫苑が残っていたナイフを突き立てた。

しかしナイフはそれほど深くは刺さらなかった。

鬼哭は顔をカバーしていた両手を突き出して、紫苑に掴みかかろうとした。

パシャ

「ごああああおう」

「みんなチャンスよ」

紫苑は飛ばされたナイフを拾うと、素早く戻ってきた。

その時には魁斗も飛燕も鬼哭の前まで来ていた。

「けっこう硬いわよ、こいつ」

「じゃあ、狙いを一点に絞るぜ」

「となると頭だな。清武さん、引き続きお願いします」

鬼哭がまた顔から手をはなした。

パシャ

「ぐあああおうううう」

「よし、今だぜ」

「いくわよ」

「よし」

飛燕が槍を突き立てた。