第46話

濃い赤の皮膚で、その身長は2メートルを少し超えるくらいか。


顔も人に近いが、違いは大きな口の両端に二本の牙が生えていること。


そして頭にも二本の角が生えていた。


まさに鬼そのものだ。


その手にはご丁寧にも、とげとげの付いた金棒が握られている。


「やはりいたわね」


「夜にしか出てこないと聞いていたが、ちょうどいい時間帯だったようだな」


「飛燕、あいつとやりあったら、どうなると思う」


「結果はともかく、勝負はそんなに長引かないだろうね。そんな気がする」


清武が飛燕を見ていると、飛燕が気づいて言った。


「私のこういうカンは、けっこう当たるんですよ。でも結果はわからないので、あまり役にはたたないですけどね」


「早く終わるに越したことはないぜ。もちろん俺たちが勝って終わるんだけどな」


鬼哭が動いた。


ゆっくりと三人に近づき、止まった。


そして空を見あげると、大きく口を開けた。


「うおおおおおおんん」


「えっ?」


「あいつ、泣いてるんじゃないの」


「確かに泣いているように聞こえるが」


「うおおおおおおんん」

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