第36話

が、ただへこんだだけではなかった。


スライムの身体の一部が消し飛んだのかどうかは清武にはわからなかったが、消滅してしまったように見えた。


「今度は俺の番だぜ」


魁斗が再び手刀を振り下ろした。


これも紫苑と同じく、その動きの切れが段違いだった。


そして怪物の身体は、二つに割れた。


先ほどは上部だけが二つに分かれたが、今度は完全に左右二つに分かれたのだ。


その上真ん中にあったスライムの体が、これまたどこかに消し飛んだかのように見える。


明らかにスライムの全体量が、半分近くにまで減っていた。


「最後は私だな」


飛燕が前回よりも素早く力強い動きで、両の拳を突き出した。


すると左右に残っていたスライムの身体が、全て吹っ飛ぶように消滅した。


――やったか。


清武はしばらく様子を見ていたが、何の変化もなく怪物は消え去ったままだった。


斬り捨てることも殴り倒すこともできないスライムを、三人はやっつけたのだ。


「やった!」


清武が三人を見ると、みなその場に倒れこんでいた。


「おい、大丈夫か」


魁斗に声をかけ、その身体を揺さぶってみたが、なんの反応も返ってはこなかった。


息はある。


どうやらとても深い眠りについているような状態のようだ。


――そういえばさっき、気を全部使うとか言っていたな。


その結果が、この有様なのだろうか。


こうなってしまえば清武に出来ることはなにもない。

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