第34話

すると木が化け物と接したあたりで折れて、化け物にむかって倒れ、そのままその身体のなかに入ってしまった。


「おい、見ろよ」


魁斗に言われるまでもなく見ていると、スライムの中にあった木がみるみる小さくなっていき、やがて消えてしまった。


その時、清武は気づいた。


スライムが通ったところにあった草が全てなくなり、こげ茶の土がむきだしになっている。


紫苑が言った。


「あいつ、消化してるんじゃないの」


「ああ、そのようだぜ。くそっ」


「これはまた、やっかいな」


「で、どうするのよ」


「物理的な攻撃は、あいつには効かない。それなら物理的でない攻撃をするしか手はないだろう」


「あれね。でも効くかしら」


「このままなんにもしなきゃ、あいつに黙って消化されるだけだぜ。それでもいいのかよ」


「いいわけないでしょ」


「だったらやることは一つだぜ」


巨大スライムが再びむかって来た。


紫苑が前に出て、そいつにむかって力強く人差し指を突き出した。


「えい!」


するとスライムの中心が大きくへこんだかと思うと、その動きを止めた。


が、再び動き出した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る