第17話
しかしそれを追いかける巨体の化け物も、同じ速さで走っていた。
そのうちに二匹の化け物が追いついたと思ったら、三人がいっせいに飛び掛かり、瞬きする暇もなく倒してしまった。
再び二匹が追いついたが、同じ結果となった。
見ていた清武は、あることに気がついた。
猛烈なスピードでずっと走っているのに、三人と自分との距離が縮まらないのだ。
そして飛燕が時折、清武のほうに視線を移していた。
――回っている。
そう三人は清武を中心に、円を描くように走っているのだ。
おそらく離れてしまうと、いざと言うときに間に合わなくなるためだろう。
また二匹が追いつくと、そいつらも瞬時で倒された。
化け物の動きが止まった。
そしてまだ二十匹ちかくいるそれらが、一箇所に集まってゆく。
「やっと気づいたわね。あのバカ猿」
「そうそう、ニ、三匹で襲ってきたって、俺らの敵じゃねえっつうの」
「全員で襲い掛かるつもりだな」
見ていると化け物はただ集まっただけではなかった。
一斉に片方の手でもう片方を掴んだかと思うと、そのまま自分の腕を引きちぎった。
そしてその腕を振り回しながら、集結したままむかって来た。
「驚いたな。あいつら自分の腕を武器にしやがったぜ」
「自己犠牲と言うやつかしら」
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