質問は疑問に対してしよう4

 質問者から、


 新しい仮説を立てたので、それが正しいかどうか見てほしい、と頼まれる。


 もちろん上の表現は実際の意味を汲み取っただけですけどね。当人は仮説立ててるつもりはないです。



 プログラムにはスクリプトというものがありまして、耳にした事のある人もいるかと思います。


 大雑把にいうのなら、世界的に統一されているプログラム言語に対して、ローカル(会社内だけなど)で通用する小さなプログラム言語です(厳密にはそういう定義ではありませんが以下の話の予備知識としてそう解釈してもらえれば)。


 今はネットに公開されて、ローカルなスクリプトも世界的な地位を得ている物も少なくないですね。


 要するに自分で作る、決める事が出来るプログラム言語です。





 話は少し前に遡る。


 僕も昔からスクリプトを利用し、自身の言語体系を持つ一人です。


 それもあってスクリプトを教えてほしいと乞われたのですが、いきなりスクリプトシステムを作るのは敷居が高い。


 一段階簡単な物を一度作って、それから挑戦した方が良いですよ、と提案したが、


「いや、それがいい」


 と譲らない。


 そんなに言うなら、とシステムの説明をして、課題的なサンプルを途中まで作り、これを完成させてみてください、と渡す。


 数日後、「出来ました」と提出されたものを見て愕然。


 一行……それも4文字くらい手を加えただけのもの。これはどう解釈したらよいのか。


 これは一体なんですか? と問うと、


「これで出来ると思った」


 実際動かしたのか? 意図通りの動作をしたのか?


「どうやったら確認できるのか分からない」


 分からないという質問は受けていない。そもそも無理だからもっと簡単な事から始めようとの提案を退けて、出来ると言うからやっているのだが?


 これだけの修正で動くという根拠を説明してほしい。


「あとは勝手に動いてくれると思っていた」


 これはスクリプトシステムを製作して給料を貰っているプログラマーに対して「お前らの仕事はこの程度だ」と言っているのか?


 まあ予定が変わって忙しくなって時間が取れなかっただけかもしれない、と正しく動作する正解を指導のもと説明したわけです。




 数か月後。


 冒頭の仮説を立ててきた。


 スクリプトシステムというものはこういうものだ、という物です。


 それを図に書いて解説を始めた。


 それは全く違うものなので、「違います」と答える。


「どこが違うんですか?」


 まずこれを教えたのは誰ですか?


「誰も教えてない。最初からこうだと思っていた」


 前に一度スクリプトシステムを作っていますよね?


 最初に提出してきたものは動作はしないですが、間違っているのは別として、意図として「ここでこうしているつもり」などの説明は出来るんですよね?


 今書いた図にある構造が、あの4文字の修正の中にどのように織り交ぜられているのかを説明してもらえますか?


「ああ~。あのスクリプトは違うものと思ってました」


 それはどういう意味ですか?


 僕がスクリプトというものを正しく理解していないと思っていた、と言っているのですか?


 さすがに失言だと思ったのかその後の弁明は正直何を言っているのかサッパリ理解できなかった。


 というより言っている事はどう解釈しても「僕がスクリプトシステムというものを分かっていないから、正しい物を教えようとしている」という風にしか解釈できない。


 そういうつもりではない、という事はしきりに言っていますが、それは自分で気が付いていないだけです。



 よく「プログラムは誰でもできる」と言いますが、それは習得に特別なスキルは必要ない、という意味です。


 何もしないのに出来るようになるものではない。


 どうもその辺りを甘く見ていると思うのです。


 つづく

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