第18話 自習

「自分が甘えてるなと思うところを10個言ってみろ」

今日の修行はこんなフラキさんの言葉から始まった。

何これ……やっぱりブラック企業の新人研修みたいな感じなのかな?


だからと言って何も言わないわけにいかないよね。

でも、出ないよ。

私、何を甘えてる?


しばらく黙っていたらニヤリと笑ったフラキさんが

「甘えてる部分など無いと言うんだな?いい度胸じゃないか」


と言った。いい度胸じゃないかは褒めているのではなく嫌味だろう。


私、14歳の時に家を出て親とも離れて暮らしてきた。

藤春家でも可愛がって頂いていたから、それが甘やかされていたという事なんだろうか?

とは言っても、自分の身の回りの事はもちろん

藤春家の家事や依頼旅行に出かければ、タロウさまのお世話もしてきた。

高校も行かなかったから、他の同年代の子が遊んだり勉強したりしている時に

私とタロウ様は修行したり、依頼をこなしたりしてきた。


謙虚になって甘えてるはずの部分を思い出せない私はおごっているのだろうか?


「出ないなら、今日は自習として今使える魔法を順に5回周り唱えていろ」


そう言って、フラキさんは道場から出て行ってしまった。


今使える魔法を5回周りだなんて、マジックポイント持たないよ。

マジックポイントは精神エネルギーの体力値だ。

まだまだ私は3回周りがせいぜい。


でも、甘えてる部分を言えと言われるより

こっちの方が修行っぽくて頑張れそうな気がする。


自習として私はマジックポイントを上げるために持久力をつけるための

走り込みと精神エネルギーを上げるために瞑想をして

その日の自習を終わった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る