ツナガル≠アイ

 就職活動、実習、卒業論文、講義、バイト、サークル。数日間ずっと色んなことが重なって休まる日がなくなっていた。


私は夜遅くに自宅へ戻った。脚が緊張しっぱなしだったせいか、ふくらはぎから下が痛い。私は早くこの重みと痛みから解放されたくて、黒い革靴を脱いだ。慣れないパンツスーツ姿で猫背になりながらリビングの真ん中に向かい、脱力して座る。


「疲れた……」


私の口から出た言葉はいつもより低かった。ちょっと自分でも女らしからぬ声色だった気がして少し恥じた。


 スーツ姿のままカーペットの上に寝転がる。ポケットから携帯を取り出し、画面をつける。メールが6件。そのうちの4件が佐々木君だった。

今日バイト忙しかったとか、私が美味しいって言ってたメニューがあるお店に行ってきたとか、なんともどうでもいい内容ばかりだった。


2日に1回くらいしか佐々木君からメールはなかったのに、最近こういうメールが送られてくる。こういう節があったけど、それでも気にならないくらいの頻度ひんどだった。唯一佐々木君のめんどくさいところだ。


 佐々木君のこのめんどくさいところが目立つようになってきたのもまた寂しさの表れなのだろう。もちろん私も寂しさを感じるけど、メールやSNSで誰かと話しても寂しさを埋められない。もっと濃密なものでなければ私の心は満たされないのだ。


感覚的な刺激しか、私の心に浸透しない。けど、恋愛したり、体のカンケイを持つのは嫌だった。普遍的な異性間のカンケイを持ち込むと、期待が先行しやすい。お互いのタイミングを計りながら、日々を過ごしていくのはわずらわしい。

私は返信しないままローテーブルに携帯を置き、着替えを済ませようと起き上がった。

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