第38話 収束
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その時、複数の出来事がほぼ同時に起こる。
〝アイランズ21〟静止宙域。UGF艦隊がコロニー群を制圧し、その全てを停止させることに成功。だが、リベルター艦隊の大半を取り逃がし、使役していたステラノイドは全員連れ去られてしまう。
第4艦隊総司令官、セイグ・オリアス・イスニアース准将は、〝グラウンド・インフィニティ〟の消滅、そして〝エクリプス〟撃墜とパイロット……ニフレイ・クレイオ少佐戦死の報を受け取り、〝アイランズ21〟の強襲がUGF主力艦隊をおびき出すための陽動であったことを悟る。だが、コロニー群を掌握し、宙域の安全を確保すること以外、現在の第4艦隊や他主力艦隊にできることはなかった。
地球では、〝グラウンド・インフィニティ〟消滅によって、その基部にある地球統合政府首都インフィニティ・ポリスが混乱に陥る。シーモンズ大統領らによって事態の鎮静のための命令が次々と飛ばされる中………〈ドルジ〉会長、ズワール・ガラは静かに、その場を辞した。その姿が、数時間前に比べてずっと小さく見えたのは、おそらくシーモンズだけではないだろう。
宇宙開発において圧倒的な差をつけて他社をリードし、政界にも圧倒的勢力を有していた〈ドルジ〉グループは、その資産の半数を占める、あの軌道エレベーターを失ったのだ。これから起こるだろう世界経済の混乱、そして改革の芽に、シーモンズはしばし両目の端を押さえて、瞑目した。
月面では、アデリウム率いる近衛隊の奮戦により防備が手薄なリベルター月本部を強襲しようとしていたUGF第6艦隊が壊滅。わずかな残敵を見送り、〝シルベスターボナパルト〟を駆るアデリウムはシオリンら近衛を引き連れて月本部へと翻った。その数時間後にはリベルター主力艦隊も帰艦する。
強権を以て宇宙開発を推し進め、その利益を吸い上げてきた〈ドルジ〉のダメージを受け、月、スペースコロニーや火星での独立運動も更に活発化。現地のUGFがそれを押さえ込もうとするものの、各地に配されていたリベルター各部隊も展開。地球の混乱により補給に不安を抱えた状態で、UGFにできることは限られていた。
そして………
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