伝説合体 桃太郎

キチゴエ

伝説合体 桃太郎

■10月29日 夕方 ある畑道


時は室町。

畑道を行く、姉弟(きょうだい)が2人。


ドガゴォ(太郎が転ぶ音)


太郎「お゛ね゛ぇ゛ちゃああああああああああ」

姉「よしよし、痛かったね……」イイコイイコ

太郎「ほわぁ…(^q^)」



弟・太郎はそれはもう姉好きのだめ男。

対して姉は、美目麗しい大和美人。



姉「そうだ!帰って母さんのきびだんご食べよっか?」ニコッ

太郎「やった!姉ちゃんも一緒に食べる?食べる?」 パァァァ


姉「うん、お姉ちゃんも母さんの作るきびだんご大好きだもん!」


姉「それと…///」




姉が太郎を抱きしめる。小さく華奢な子供の身体。




姉「……太郎も好きだよ?///」ほっぺにちゅっ


太郎「ほわぁ…(^q^)」


近所のクソガキ・ねぷ山「おい見ろよァ!太郎の奴、また姉ちゃんに”よしよし”されてるぜ!」

太郎「うぅ……><」

姉「ねぷ山君も”よしよし”してあげようか?^^」よしよし

近所のクソガキ・ねぷ山「ほわぁ…(^q^)」



太郎(ぼくの姉ちゃんは、とっても美人で自慢の姉ちゃん。

いつも桃の良い匂いがして、おっぱいもほどよい大きさで実によい( ˘ω˘)。

ネグリジェ姿もめちゃシコなんだ。ずっと一緒にいたいなぁ)



姉「お姉ちゃん……来月結婚するね」

太郎「( 'ω')」



姉「最近このあたりに鬼が出るって噂でしょう?となり村の武士と結婚すれば、うちを無料で警備してくれるんだって……。母さん達の命には変えられないもん、しょうがないんだ」


時は室町。悪鬼はびこる戦乱の世。

その悪鬼、目撃者は誰もいない、想像上の脅威・物の怪である。


太郎「そんな…鬼はぼくがやっつける!だからお嫁になんて行かないで、姉ちゃん!」


姉「……」



回想

近所のクソガキ・ねぷ山「おい見ろよー!太郎の奴また姉ちゃんによしよしされてるぜ!」

太郎「お゛ね゛ぇ゛ちゃああああああああああ」

回想



姉「……かなわないよ」ちゅっ

太郎「……!」


ほっぺではない大人のキス。

初めての味は、甘い甘い桃の味。


姉「……私の初めて、今は太郎に預けておくね。鬼を倒せる男になったら……」






続 き を し ま し ょ 。





その夜、太郎の家が鬼に襲撃された。


剣も斧も弓も効かない、文明的に進化した先進的殺戮兵鬼・略して進鬼(しんき)。

駆けつけた結婚相手の武士達は、為す術もなくビームサーベルで殺された。


そして姉もさらっていった。


進鬼のパイロット鬼・キチゴエ「ヒューッ!ハイパー美少女ゲットだぜ(^q^)」


太郎「姉ちゃんを返して!返してよおおおおおおお!姉ちゃん!姉ちゃん!姉ちゃあああああああああああああああああんッ!」ポロポロ(涙が落ちる音)


キチゴエ「( ^ω^)」


姉「……待ってるからね……」


キチゴエは進鬼の頭にある操縦席に入ると、姉をかついで引き上げていった。




この日、人類は進鬼と出会った。

どこで作られたのかも分からない、絶対無敵の完全兵鬼へいき

かつてないほどの文明の差、力の差。



太郎「うっ……うっ……姉ちゃぁん……」ポロポロ(涙がこぼれる音)





回想

姉「鬼を倒せる男になったら……続きをしましょ」

回想




太郎「……」


太郎母「……太郎?」


太郎は力強く、涙をぬぐった。






この夜、この少年を起点に日本の文明は急激な進化を遂げる。


俗に言う、桃太郎伝説の始まりである。





■5年後 太郎家


太郎は変わった。

進鬼に対抗できる兵器を作るため、僅かな時間も惜しんで勉強に明け暮れた。


近所のクソガキ・ねぷ山「太郎ァ!遊ぼうぜ!」

太郎「ごめん、調べたいことがあるんだ」

近所のクソガキ・ねぷ山「そっか……頑張れよな」

太郎「うん……」


友達と遊ぶことなく、ひたすらに本を読み、高名な学者と文通で議論を交わした。


太郎母「太郎、みやこのプロフェッサー・ブラザーから論文が届いてるよ。すごいねぇ……」

太郎「ありがとう、囲炉裏のそばに置いといて」

太郎母「少し休んだほうが……」


太郎「……姉ちゃんが、待ってるから」


10年後、太郎は進鬼を倒すための3機の兵器・勇者シリーズを完成。

ある作戦を立てる。





鬼 ヶ 島 攻 略 戦 。





時に、10月29日。太郎・20歳の誕生日である。


■10月29日 朝 太郎家


母が太郎にきびだんごを手渡す。


太郎母「太郎とあの子が、桃に入ってやって来た日を今でもたまに夢に見ちゃう。血が繋がっていなくても、鬼になんか負けない良い子に育てたわ。怖い時は、お母さんを信じなさい」ポロポロ


太郎「うん……グスッ……。行ってくるよ、母さん!」


太郎母「太郎……」


子育ての終わりを告げる、20歳の誕生日。

同時にそれは、一人の男としての誕生日だ。


太郎母「格好良いよ」



■10月29日 鬼ヶ島 曇天


09:59:57

09:59:58

09:59:59


10:00:00


ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ…………


鬼1「ん?なんか落ちて来るぞ」


鬼ごと地面が爆発!

爆弾が落ちてきたのだ!


きじ「シスタァァァァァァァァァァッ!」


爆撃したのは、勇者01-高高度戦略爆撃空中空母デュエル・バード!

直径400kmのその空母は、「きじ」と呼ばれている!!


きじ「着地地点は確保した!行けっ!タロニキ!」


きじの甲板から太郎を乗せた一匹の犬が飛び降りる!いや違う、あれは犬ではない!


勇者02-多脚型戦略砲撃万能戦車ウォー・ドッグだ!

炎と共に戦場を駆ける姿はまさに「犬」!乗りこなせるのは太郎だけ!


太郎「撃てッ!」

犬「シュベスタァァァァァァァァァッ!」


犬の口から発射された水爆が、鬼達を消し飛ばす!


そんな犬に、鬼達が一斉にとびかかる!


カキィィィィィィィィィィィィン!(鬼の攻撃が防がれる音)


犬と太郎を守ったのは巨大な二の腕!


勇者03-超怒級戦略殴打格闘機械バトル・ゴリラだ!

巨大な手足で鬼をひき裂くその仕草、まごうことなき「猿」である!

キングコングの悪夢再び!


猿「エルマァァァァァァァッ、ナァッ!」ドスドス(胸をたたく音)






きじ「……タロニキ!何か変だ!こいつら進鬼じゃねえ!生身の鬼…いや人間だ!」

よく見ると、死んでいる鬼は角が生え皮膚の色が変わっただけの人間である!


太郎「……まさか……」


キチゴエ「そう!そのまさかさ!さらった人間を鬼に改造したんだ!★」


巨大な拳が、島の鬼もろとも太郎一行を吹き飛ばす!

海に沈む無数の鬼たち!


猿「あいつ味方ごと……!」


太郎を吹き飛ばした巨大な進鬼に、もはやかつての面影はない!

より巨大に、より強大に!進化したその鬼の名は!


キチゴエ「大進化鬼(だいしんげき)・ストレイドオーガッ!」


なんと全長5000km!

全長400kmのきじでさえ、小鳥サイズだ!


薄れ行く意識の中で、太郎は聞いた。


キチゴエ「もしかしたら、君らが殺した鬼の中にいたかもしれないねぇ?君の…」


お ね え ちゃ ん 


太郎・きじ・犬・猿「クソァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!」


海に沈む一人と三匹!ドゥボンッ!


無数の鬼が海中に漂っている。



真っ白になった太郎の脳内に、あの声が蘇る。




回想

太郎「お゛ね゛ぇ゛ちゃああああああああああ」

姉「よしよし、痛かったね……そうだ!帰って母さんのきびだんご食べよっか?」

太郎「やった!姉ちゃんも一緒に食べる?食べる?」



姉「うん、お姉ちゃんも母さんの作るきびだんご大好きだもん!」

回想





太郎「ッ……!」



沈みゆく太郎のそばを、一匹の鬼が漂っていた。

太郎はそっと、小さな口に母の作ったきびだんごを入れ、抱きしめた。


太郎「姉ちゃん……」




太郎母「お母さんを、信じなさい」




鬼は、そっと太郎を抱きしめた。がっしりとした太郎の身体を、確かめるように。





鬼「かなわないなぁ……///」




■鬼ヶ島 曇天


モブ鬼「リーダーッ!海底から何かが上がってきますッ!」


キチゴエ「!?」


ザバアアアアアアアアアアアァァァアッ!


空に舞う三匹の勇者達!


勇者-01 高高度戦略爆撃空中空母 デュエル・バード!

勇者-02 多脚型戦略砲撃万能戦車 ウォー・ドッグ!

勇者-03 超怒級戦略殴打格闘機械 バトル・ゴリラ!


きじ・犬・猿「全てはッ!大好きな姉ちゃんを助けるためにッ!」


太郎「伝説合体ッ!」


海が割れ、竜巻が叫び、雷が吠える!


天変地異の地獄の中で三匹が今、一つとなっていく!


プロフェッサー・ブラザー「進鬼は日に日に巨大になっていく……」


きじ「大和式ロックボルトァ!接続ッ!」

きじと犬と猿が、一列に合体!まるで串が刺さっていない団子のようだ!


プロフェッサー・ブラザー「あれに勝つ方法は一つしかない」


犬「ファイナル・シークエンスッ!」

犬の尻尾が巨大な剣になり、だんごとなった三匹を貫く!


プロフェッサー・ブラザー「逆に小さくなることだ」


さる「成功ァッ!」

貫かれた三匹から両手足が飛び出し、一人の巨大ロボットになった!

全長25m!


プロフェッサー・ブラザー「勝てよ、兄弟(ブラザー)」



巨大勇者ロボの頭の上に、鬼を抱えた一人の男!


太郎「我が名は太郎!」


鬼「太郎の姉、またの名を桃!」


太郎・桃「二人合わせて!」


きじ・犬・猿・桃・太郎「桃太郎ッ!」


きじ・犬・猿・桃・太郎「勇者-EX 絶対最強決戦兵器 桃太郎、日本海に今降臨ッ!」


太郎「……さぁ、キスの続きをしようじゃないか」


桜吹雪が太郎を飾る。


キチゴエ「……ッ鬼に金棒アアアアアアアアアアアア!」


大進化鬼の巨大な左腕が、日本列島・中国地方を鷲掴み!


キチゴエ「日本文化の重みを知れえええええええッ!」


振り回される日本列島!

しかし桃太郎には当たらない!その全長は25m!あまりにも小さい!

全長5000kmの大進化鬼からすれば、目にも見えないダニサイズである!


太郎「アンチ・ロジカル・アクセルッ!」


桜吹雪舞う日本海を蹴り、桃太郎が跳んだ!


きじ「きれいな姉を傷つけた罪ッ!」


太郎は昔から知っていた!


犬「てめぇの汚え魂で!」


姉がさらわれたあの日、太郎は目に焼き付けていた!


猿「償ってもらうッ!」


キチゴエが、進鬼の頭部・操縦席に入っていく所を!


太郎「抜刀ァッ!ビームサーベル・桃斬り刀!」


桃太郎、大進化鬼・頭部正面!


桃・太郎・きじ・犬・猿「桃斬り一閃ッ!ディスティニー・ブレエエエエエエエエエエエエエエエエエドッ!」


桃斬り刀が、コックピットのキチゴエを一刀両断!


キチゴエ「……幸せにしてやれよ……」


大爆発!


5000m級大進化鬼、轟沈!

大進化鬼が振り回していた日本列島は本州・九州・北海道に分解!

特に握られていた中国地方は一部が砕け、四国地方が新たに誕生!


こうして、今日の日本列島は完成したのだ!


桃「た゛ろ゛おぉぉぉぉぉぉぉ」

太郎「よしよし、痛かったね……」イイコイイコ

桃「太郎が立派にな゛っでる゛!男にな゛っでる゛うううううう!」ウワアアアア

太郎・きじ・犬・猿「もう離さないぞ!姉ちゃんッ!」

桃「うんっ!絶対お嫁にいかないぞ!///」

太郎・きじ・犬・猿「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」


桃「……太郎!母さんは!?」

太郎「( ゚д゚)ハッ!」


母がいた日本列島は振り回され、今や新大陸同然だ!南無三!


むかしむかし、あるところに全長25mの巨大ロボがいました。


するとそこに、どんぶらこっこ、どんぶらこ。


大きな桃が流れてきます。


太郎「斬ッ!」


割れた桃の中から現れたのは……


桃・太郎「マッマ!パッパ!」


太郎母「桃に入ってなかったら即死だったわ」


桃太郎一家はその後、きじ・いぬ・さるの強大な軍事力に支えられ、ひっそり幸せに暮らしたのでした。


また、角が生えた美少女・桃は結局誰からももらってもらえなかったため、太郎とお供の3匹が一生大切にしましたとさ。


めでたしめでたし。







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