1-14

二人は人気のない場所を歩いていく。


不安がる彼を他所に大丈夫だと、慣れた足取りで歩いていく彼女。


気付けば時刻は日付が変わろうとしていた。


「ねえ、今日は楽しかった?」


とある路地で不意に立ち止まり、そう尋ねた彼女の表情はいつもどおりの笑みを浮かべていた。


いつもどおり?


彼の中で冷たい何かが勢いよく滑り落ちたような気がした。


嫌な予感が一気に彼に襲い掛かる。


逃げたくなる衝動に駆られるが、隣で彼女がしっかりと腕を絡ませているので走ることができない。


「ねえ、早く答えて」


じゃないとクリスマスが終わっちゃう。


ねっとりと絡みつくような声音。


彼の喉がからからに乾き、ねばつく感覚に襲われた瞬間。


どこからかスマートフォンのアラーム音が鳴り響いた。

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