ひつじのごはん

@Graffiti_cat

ひつじのごはん

羊飼いの少年とその少年の飼う羊たちは豊かな緑のある山にすんでいました。



いくら緑豊かといえどもずっとその場所で育ててしまうと草が食べ尽くされてしまうので数日ごとに次の場所へと引っ越さなければいけません。



少年はずっと同じ場所に居たかったためいつも不満でした。



ある日牧草以外もたべて育つ羊が居ると売りに来た商人が言いました。


この羊達ならたとえ草がなくなっても樹木を食べます。

樹木がなくなっても石を食べます。

それと昆虫や魚も自分で捕まえて食べます。



少年は喜んでその羊たちをかい、今まで居た羊たちを追い出しました。


「やったぁ。これでずっと同じ場所でのんびりできるぞ。」




商人から新しくかった羊たちは牧草以外に木や魚をたべてどんどん増えました。



とくに手入れしなくてもどんどん増えて毛を刈った分だけどんどんたべてまた増えていきました。


この羊達の毛で作った織物はとてもあたたかく飛ぶように売れました。


そのお金で大きな小屋を建てることも出来ました。


少年は移動しなくてもほとんど世話をしなくてもいいから毎日のんびり過ごしました。




でもある日羊たちが少年の住んでいる小屋を食べ始めました。


「こら。なんで小屋を食べるんだ。やめなさい。」


少年はあわてて止めます。



だけれど羊たちは食べるのをやめません。


いつの間にか小屋の周りは木や草はおろか小石も残っていません。


そのため小屋の柱などしか羊たちが食べるものは残っていなかったのです。


羊たちはどんどん小屋の壁を食べてしまいます。


と、そのとき音を立てて小屋が崩れてしまいます。



少年は外に居たから無事でしたが羊たちはみんな家の下敷きになって死んでしまいました。




少年は近くの崖から隣の山を見ます。


羊たちが楽しそうに草を食べながら移動していきます。


少年は夜になってもずっと一人でそこに座っていました。


お腹がすいたけれど近くの木や草は全部羊たちが食べてしまっています。


魚を捕って食べようとしたけれど魚も一匹もいません。


お腹がすいてすいて悲しくなって泣いていると羊の声が聞こえました。


こえのしたほうをみてみると羊たちが歩いています。


だけれど下敷きになってしまった羊たちが草を全部食べてしまっていたのでこちらには来ずにそのまま通り過ぎていってしまいました。





少年はずっと崖で膝を抱えていました。


そしてある日ふもとの町へと降りていき二度と戻ってきませんでした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ひつじのごはん @Graffiti_cat

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る