「接触と分離のバランスが機能的な相互作用には不可欠である.それはシステム理論の観点からすれば,機能的なシステム境界を持つことが,生きたシステムがこの世界で生き残り発展するために不可欠の要件であるということである.」
そこらの小説が『ぬるく』感じるほどの圧倒的な描写と、ひりひりするストーリー展開が、内臓をわしづかみにしてくるような錯覚を与えてきます。『改造された』少女、身体を持たぬ協力者、彼女の前に立ちふさがるかつての仲間。SFエンタメの要素を持ちながら、一抹の楽観も許さぬディストピアが広がる世界。いいです、すばらしいです、それしか形容できません。読む覚悟のある人だけがその『桃源郷』に到達できる、そんな本当のSF好きのための小説です。もっと多くの人に読んでもらいたい!
登場人物の容姿の表記や、説明などはしっかりした文章でまとめられていてわかりやすくなっているが、難しい漢字を多様しているので少し読み進め辛い。実際書籍化されているものの中にも漢字が連なる箇所は漢字表記しなかったり、難しい漢字もひらがなで書いていたりするので、そういった書く上での工夫がもう少し考慮されていると読者が読みやすいものになる。