ファルファーラ

蒼と碧の水面が弾き返すランプシェイドと吊り時計、焔に焼けない蝶が羽ばたく硝子の檻と雨傘。幻想の小道具に満ちた場所、繚乱に馨しく溢れた四つ片の花弁が、金古美の手摺と朱の欄干から絶えず零れる。静謐の中にささやかな波紋を遺して、青や紫、薄紅の雨花は往く。何を連れてゆくのかしらね、と彼女は胸のうちに問うた。蝶も灯火も何も、誰も答は持たぬ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る