普通の暮らしができているはずだった 〜ギャンブル依存症が起こした悪夢〜
@rihaku--toho
第1話 Xデー
6月1日、娘を保育園に迎えにいって、帰宅途中のトンネルを越えると今までにないくらいの豪雨と雷が鳴り響いていた。
それはまるでトンネルの途中で別世界にワープしたかのような嵐だった。またそれは彼女の心の中を表しているかのように思え、少しゾッとした。
バレないでくれと言う期待も長くはもたなかった。
駐車場に着いて雨が落ち着くまで娘と車で待つことにした。
そこで携帯電話が鳴った。
母さんからだ。嫌な予感がした。
出ると少し間があり
「○○さん(奥さん)がまたお金がなくなってるって言ってる。あんたまたお金取ったの?」
僕は血の気が引いた。予感が的中したのだ。
わけもわからずそのまま車を引き返した。どこでもいいから家から遠ざかりたかった。誰も通らないような少し静かな場所へ。
停車して、娘を抱きしめた。
離婚するしかないけど、離婚はしたくない。この子をもっと育てたい。次に生まれてくる子も待ち遠しくて仕方ない。、、、涙が溢れてきた。気づけばひたすら娘に謝っていた。娘は何にも悪くないのだ。全て自分のせい。
3歳の娘はわけがわからず、娘も泣き出した。とにかくこの子を奥さんの元に返して少しでも安心させたいと思い、僕は家に戻ったが奥さんの車がないことに気付いた。とにかく探しに行こう。行き先はわからなかったが車をしばらく走らせたらすれ違った。向こうは僕のGPSである程度の場所を割り出したのかもしれない。家に戻る方角だ。
駐車場に戻ると、やはり家に帰るまでの勇気がない。
5分くらい停まっていたらお義母さんが迎えにきた。
「とにかく家に戻ろう。」
お義母さんもこの騒動と僕の涙で察していた。
娘を抱っこした義母さんより少し前を歩き、家に入るとすぐに2階へ向かった。
奥さんは1階に居たようだった。
20分くらい僕は何も出来ずにいた。僕は何を思ったのか財布と携帯を持って、1回分の着替えを片手にそっーーと下に降りて誰も気付かれることなく家を出て、車を行き先のないまま走らせた。
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